(旧暦 閏皐月廿二日)

 『何かが空を飛んでいる』
 『何かが空を飛んでいる』
  稲生平太郎/国書刊行会

 UFO関連本を買ったの何年ぶりだろう。(;^_^A
 かつて出ていた本の復刻なのだそうで。お恥ずかしながら、この本の存在を刊行当時も復刻時も知りませんでした。ので、伝説的名著だということも知りませんでした。
稲生平太郎」なる筆名から、筆者氏が不可思議系大好きな御仁だと容易に想像できます。それと同時に「不可思議に惑わされてなるものか」という気概も見え隠れ(笑)。
 奇っ怪なるものに踊らされることなく冷静に見ていこう、という姿勢が筆名から覗えるだけでなく、実際に本文も極めて冷静にUFO現象について考察されています。いや、これは勉強になります。
 筆者は学者さんでもあるそうで参考文献の量も半端なく、なるほど、これはUFO論文として、かなりのものだと生意気ながら思いました。
 附録の「泥の海――あるいは円盤文献瞥見」が、また見応えありです。この中でUFOディレクター矢追さんと、月刊ムーの提灯ライター並木さんがクソミソです(爆)。飛鳥昭雄氏の本は一つも紹介されてなかったな(藁々々々)。志水一夫さんの“矢追さん告発本”は妖之佑も購読しており、また「本まるごとでっちあげ」とされている本も購読していました。志水さんの主張には当時いちいちうなずけるものを感じましたし、「でっちあげ」本は読んで「なんじゃこりゃあ」と思ったものでした。不詳・妖之佑の感性も、そこまで悪くなかったんだなーと♪
 実のところ『何かが空を飛んでいる』は、この本全体の三分の一ほどしかありません。残りは著者が各誌に寄稿なさった論文やエッセイがいろいろと収録されています。UFOには触れていないものの、こちらもかなり専門的で読み応えがあります。巻末に『稲生物怪録』に関するエッセイを持ってきたのは著者の希望なのかな、編集さんのセンスなのかな。



 『実録 自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO』
 『実録 自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO』
  佐藤守/講談社

『何かが空を飛んでいる』を買うついでに手を出してしまったUFO本。
 元航空自衛官である著者が、かつての同僚や後輩に直接取材して得た目撃情報を収録したものです。残念ながら、ご本人は一度も目撃経験がないそうで。
 ここで言うUFOとは、純然たる「未確認飛行物体」です。「unknown」ってことですね。空の国防に携わってこられた著者ゆえに、レーダーや目視でその正体を補足できない飛行物体に対する具体的危機感を抱かざるを得ない。そういった気持ちから出来上がったのが、この本。本文中で何度も、自衛隊組織の石頭さを批判なさっています。目撃報告するパイロットを「貴様、居眠りでもしていたのか!」と一喝するのは簡単ですが、対象がもしも悪意ある侵略機だったら大変なことです。「unknown」を「unknown」のままに放置して良いはずがないのは、素人でも判ること。
 このへん、米軍はきちんとしてましたね。フー・ファイターやUFOが国防の脅威になるかどうかを軍としてしっかり調査していたことは、情報公開法に基づく裁判に負けて公文書が公開されたときに明らかになりましたから。
 日本は U.S.A. の悪いところは真似するクセに良いところを全然見習わないんだよなー。
 …………などと言いつつ、著者は取材を進めるにつれ、徐々にUFO異星人起源説に傾いてくんですけどね。(;^_^A

 なお、この本ですが。のちに、加筆・改題された新書版が出ています。妖之佑は情報不足で、やっちまいました(汗)。
 ですので興味を持たれたかたは、お値打ちな新書版になさるのが、よろしいかと。似たタイトル&黄色いカバーなので、すぐ判ると思います。