初薬師 (旧暦 師走十一日)

 昨日の続き。



 廃寺も棲むに良いかもしれません。
 古刹であれば、そこそこ広くて部屋数もありそうですし。何より和の風情がある(はず)。
 いや、別に『蒟蒻問答』の偽坊主みたいなのになろうってんじゃありませんよ。

 とは言え、廃校舎以上にリスクもある。

 一つは常識的リスク。
 つまり、廃寺になったということは、その地域の高齢化・少子化によるものであり、やむなくという流れと思われ。
 となると、それを買い取って好き勝手にやろうものなら、地域住民(特に高齢者)のかたがたから反発されかねん。他所者ということもあろうし。

 もう一つは非常識的リスク。
 これはねぇ……廃寺というのは聖域の裏返しで穢れた場所になりかねないってこと。となると当然、物の怪どもにとって居心地の良い場所となる。それも陽気な妖怪たちではなく、陰湿な悪霊系にとって。これは、はっきり言って困る。
 それと、流れの中で廃れていった寺の場合、墓地の墓をきちんと閉じていない可能性がある。そうなると、うち捨てられたお墓の住人のかたがたが夜な夜な……って事態にもなりかねない。これも、ゴースト・スイーパーでない限りは、かなりの問題。

 だいぶ前にバラエティー番組で紹介されていた格安物件の中に廃寺があってね、それで気になっていたのですよ。「ああ、そういうのもあるのか」とね。
 でも、考えれば考えるほどに、↑みたいな短所が見えてくる。

 それでも、お寺に棲むというのも、面白そうではありますね。
 お金ないから、やりませんけど。