下弦、八せん終わり (旧暦 弥生廿三日)

『スジナシ』が、やっと終わるそうで。
 長く続けていたがためにケチのついた典型的な実例でしたね。
 ずっと初期仕様のままで、やっていればよかったものを……特に中井美穂(あえて呼び捨て)加入以降は最悪の内容だったですよ。

 巷の意見で「一時間枠のときが良かった」という声が多いようですが。
 個人的には、その前の初期の三十分枠が最高だと思います。素朴で手作り感があって中身勝負って感じで面白かった。毎回、緊迫感がありましたしね。
 対して、観覧客を公募、ドラマ収録をスタジオで、お客はモニターで鑑賞という一時間構成は、劣化だと捉えています。お客から貰うキーワードや「**してほしい」などの課題も余計な要素。それでも一時間枠という余裕のおかげでトークが充実しており、そこは楽しめました。
 それが三十分枠に戻ってからは、その少ない時間の半分以上を中井が喋るため、中身スカスカでしたよ。設定も中井、舞台指定も中井、衣装選びも中井、OK出しも中井、トークも中井、ついでに題名付けも中井……これでは「スジナシ」になんて、なりえないです。特に衣装選びが舞台に合わせすぎてて面白味皆無。失礼ながら中井にはセンスがないと断じざるをえません。

 それと。
 即興ドラマの途中でCMをはさむのは本当に理解できません。
 これ、一時間枠のときまでは決してやらなかった暴挙ですよ! ひょっとして制作スタッフが入れ替わってたんですかね?

 もう一点。
 近年、鶴瓶師匠があまり『スジナシ』に力を入れていない印象がね、ありました。
 収録本番中に、すぐ笑うんですよ。集中していない証拠でしょ、これ。
 いえ、前々から笑ってしまうことはありましたが、それは共演者のかたのパワーに押されて思わず、という流れだった。それが最近では簡単に笑う。ほぼ毎週、笑う。笑うから、それをごまかすために顔をカメラからそむける、顔に手やタオルをあてがう。演技が破綻してますよ。
 しかも、話の持って行きようがひどかった。もうワンパターンと言っていいほど、つまらん展開と結末。
 今思えば、一時間枠の後期、新作が月一で残りを再放送で埋めていたのは、師匠の集中力を維持するための対応策だったのかもしれません。
 それが三十分枠になり毎週新作となり、ボロが露呈したのか。
 こんなことなら、もっと早く、ケチのつく前に終わっていれば名番組として有終の美も飾れましたものを……。

 鶴瓶師匠の芸人としての衰えが見えた。
 そして、女子アナ出身のタレントにロクなのいないのが確認できた。
 というのが最終仕様の『スジナシ』で得た収穫だなんて、あまりに滑稽がすぎます。

 望むべくは、初期三十分枠時代の再放送をしていただきたいです。
 とは言え、DVD販売の邪魔になるから、やんないだろーなー……。



 民放の宿命なのか、長寿番組は好調であっても必ず梃子入れを受けます。
 で、その梃子入れが、たいがい勘違いによるもののため、内容は劣化します。
 それを繰り返した挙げ句、まったくの別物番組となった末に打ち切られるのが常。
 この危機を辛うじて乗り越え、途中の歪みから従来の形に戻して存続しているのが『なんでも鑑定団』です。
 売れたんだから、その売れた形を維持すればいい。というだけの簡単な話のはずなのですが。なぜか民放では、それが難しいようで。結果、本当の意味での長寿番組というのは民放には少ないのですね(元凶は口うるさいスポンサーだな、たぶん)。