庚申 (旧暦 如月十二日)

 
 『スネークマンショーSONY MUSIC MHCL 323
 『死ぬのは嫌だ、怖い。戦争反対!』SONY MUSIC MHCL 324
 『スネークマンショー海賊盤SONY MUSIC MHCL 325
 『スネークマンショー アンソロジー!!!』UNIVERSAL MUSIC UICY-1225/6
   /スネークマンショー


 YMOに触れたら、これにも触れないわけにはいかんのよ。たぶん。

 昭和の伝説的ラジオ番組『スネークマンショー』のネタを音楽と組み合わせて作られたアルバム群。
 形態としては、YMOの『増殖』や『サーヴィス』と同じと思っていただいて正解です。て言うか、このアルバム群が出るきっかけが、たぶん『増殖』ですね。

スネークマンショー』(通称「急いで口で吸え」)は、ファースト・アルバムということでネタも曲もハズレ無し。当時、YMOの『磁性紀』は、これでしか聴けなかった(非売品のカセットブックはあったけどね)。
 単立の曲として、そこそこ人気があった「咲坂と桃内のごきげんいかが ワン・ツゥ・スリー」もクセになる。
 中では皮肉と毒たっぷりの「はい、菊池です」が最高ですね。よく叩かれなかったなあ当時。
「ストップ・ザ・ニューウェイブ」と「これなんですか」は、実際にありそうなお話。
「シンナーに気をつけろ」はシンプル・イズ・ベスト。素晴らしい。これも今じゃ叩かれるかもなー。

 セカンド・アルバムでラスト・アルバムの『死ぬのは嫌だ、怖い。戦争反対!』は、タイトルほどには反戦の気配ゼロです。
 いちおう「愛」をテーマにしているようですが、その気配も怪しいです。むしろ下ネタ? 家族がいる人はヘッドホンで聴きませう。
 実際、この中では「愛のチャンピオン号」しかギャグとして評価できません。個人的にはハズレ盤です。
 ただまあ。「愛のホテル」に共演しているのがセイラさんの中の人、という点は、ヲタの端くれとして注目ポイントですね。

 ラストの次に出るから「海賊盤」と名付けたらしい『スネークマンショー海賊盤』は、セカンドより全然良い。
 中では、「今夜はごちそうさま」と「第三種接近遭遇」が大好きなのですが……「第三種接近遭遇」はラジオの原版のほうが上かな。このアルバム収録ver. はテキストの解釈がまちがってる。そう感じます。
「今夜はごちそうさま」も「第三種接近遭遇」も、スネークマンショーのヒットで映像化もされたんですが、あれはダメですダメすぎます。スネークマンショーは音声だから成立するギャグなんです。映像が入ると魅力が激減というか消えます。ダメです。どうダメかはネタバレになるので申せません。聴いてほしい。ここは、『サーヴィス』に収録された S.E.T. のコントと真逆の現象と言えますね。あっちは音声だけだと足りない。
 同じような意味で、「**小僧」と「ラジオの音量調節」はラジオ放送の限界に挑戦したネタだな。良い意味でバカだよ大バカだよ。
「漫才」は、同じことを今、長州さんや天龍さんをいじってやってますよね。スネークマンは先進的だったんだなー。

スネークマンショー アンソロジー!!!』は、それまでのアルバムに入らなかったネタを押し込んだ二枚組。
 押し込んでるから当たり外れありますが、これが出ただけでもありがたいです。聞けば、全ネタ収録アルバムという素晴らしい企画が、途中でFOしたそうですからね。
 中では「越谷カントリークラブ」が楽しいです。空気を読むヘリコプターが最っ高♪
 そして、これまた放送の限界に挑戦する「ジャンキー大山」!
 大山の逆を行く「明るいラジオ」。
「Chrismas News」は平和ボケ日本のマスコミなら現実にありえそうです。
 これと「Let's Enjoy Olympic」もそうですが、当時のスネークマンショーの意識としては、やはりソ連は戦争ばかりする怖い国という意識ですね。スネークマンショーだけでなくYMOも中華に寄っていたのと、実に対照的です。
 現実に“あるある”の「刑事コロンダ」、セイラさんの中の人が大活躍の「ラジオショッピング」などなど、やっぱり楽しいです。
スネークマンショー」というユニット名の理由となったキャラクター、有名ラジオDJという設定のスネークマン氏も出番が多いです。さすが、詰め込んだだけある(笑)。

 なお、『ピテカントロプスの逆襲』は聴いてません買ってません。
 三人揃わない状態で「スネークマンショー」を名乗るなんて許せませんから。