九字を破邪の攻撃呪文みたく思っている人が多いようですが。そう扱う作品も多いようですが。
それ違いますから。
九字は、何かしらの儀式を執り行う際に前もって結んで、儀式が終わると解くものです。
つまり結界の構築が九字の目的。九字そのものに何かの効験があるわけではない。
西洋魔術の「我が前方にラファエル、我が後方にガブリエル……」と同じ性質のものですね。
なお「結ぶ」と言いました。
巷では「九字を切る」というほうが知られていますが、これは早九字という略式のものです。例の、指刀で格子状に空を切るヤツですね。
正式には九種類の印を次々と結ぶのが九字です。印というのは、映画やアニメで忍者がドロンとやるときのあれですよ。いや、佛様も結んでおられますけどね。
『スケバン刑事III』の般若がやっていた型と用法が、けっこう正解に近いはずです。
ちなみに、伊勢志摩の海女さんが魔除けとして着衣などに書いたり磯ノミに刻んだりしている「セーマンドーマン」の「ドーマン」は早九字をモチーフにしてはいるものの、あくまでも民間信仰なので、そこまでうるさく言わなくていいのです。