終わってみれば、今なりの『ナウシカ』だったんだなぁ、と。
物騒な巨大ロボットは巨神兵、その群れに焼かれる街は火の七日間。
人のいなくなった後も機能し続ける都市は腐海で、エリンギたちは王蟲。
腐海の毒に相当するものが、都市のエネルギー源(おそらくは核)や兵器。
ついでに、エリンギの声がナウシカだし。
エリンギたちは各階層の熱源体すべてを喰いつくす。それによって地球を「静的」にする、つまり佛教で言う涅槃寂静に導こうという。そのことを「生命の長い営みを終えて」と表現したね、あのキノコなナウシカが。つまり「死」と言ったに等しい。
まあ、二人が旅してきた階層を見れば、完全に喰いつくされたわけでもなく、極少の人間が生きるに要する程度のエネルギーは残っているので、二人+αは特に困ったりはしないと思われるが……。
二人が写真機を使った際の日付に「3231」とあったので、これを西暦とすると千年以上も未来のお話。まったく違う新暦かもしれないけど、ヌコが全フォルダを開いたときの写真を見る限り、21世紀あるいは平成の文化に近い様子もあるので、やっぱり西暦と見ていいんじゃないかと。
その後、何人もの人々の手を経て、カナザワから二人に受け継がれた写真機。戦争の様子も写っているのが恐ろしい。にしても、物凄い容量と、バッテリー能力だね。ラジオも相当なものだと思う。原子力電池か?
千年ごときで、あんな奇っ怪な生命体が出現するものなのだろうか?
遺伝子操作によって作られた自動浄化システム?
あるいは、たまたま都合良く宇宙から飛来した?
とりま、人々がエリンギの浄化能力に希望を抱いていたのは確かだね。たくさんあった、あの神像を見る限り。
武器の文明レベルが滅茶苦茶なのは、千年の間にいろいろあったってことなんだろうか?
ケッテンクラートやボルト・アクションのライフル銃(三八式に似てる気がする)などは本物ではなく、レプリカだろうね。イシイが住んでいた工場? 飛行場? に大量の図面や現物が保管されていたように、過去の様々な物を後世に残そうとした人々がいたに違いなく。
そんな記録も人類が終われば意味なんてない……ということを、エリンギに写真機が喰われたことで表現したのかもしれない。虚しいね。残る頼みは紙の本だけか。
最後に「月に行こうよ」と言っているのも、地球が終わるというエリンギの言葉とともに、物凄く虚しくて悲しい。
あ、でも月に、さらには火星にも何かあるかもしれないな。あれだけの文明が地球にあったんだから。
そこで巷には、あの二人の名前は、この二人から取ったという考証があるわけです。「ユーリイ・ガガーリン」と「ゲルマン・チトフ」(よく気づくものだ。流石としか)。これはもう、二人は宇宙に進むしかないっしょ。
原作は、まだ続いているので、二期を期待したいですね。