電子制御の旧式カメラなど持っとらん。
などと偉そうに言いました。
じゃー↓は何じゃい!?
いやー。
訳あり処分品で捨て値だったからサー。
外見、綺麗だったしサー。
不動品をお飾りとしてなら面白いかなーと思ってサー。
シルエットだけでパッと判る人は、それなりの好き者さんでしょうね。
京セラが「京セラ」ブランドで出したAF一眼レフ、230-AF です。
京セラとしては初のAF機だったかと思います(うろ覚えですが)。
この正面から見た▲シルエットが特徴ですね。他社のどこにも、こんなデザインはありませんでした。
真横から見ても、そう。
それだけに個性が強く、印象に残りやすいデザインです。
カメラ・メーカーとして後発の京セラには、これくらいの冒険が必要だったのでしょうね。
見た目はブッ翔んでても、中身はしっかりしてます。
ご覧の通り、高性能機の特権である縦走りのシャッター幕ですよ!
右肩にあるストラップ用の枠は、ともかくとしまして。
左肩の枠を、ご覧あれっ!
首から水平に下げるだけでなく、プロがよくやる肩からカメラを吊るために、左側にだけストラップを付けられるようにもなってます。
見た目のロボットっぽいイメージとは相反する、本格的実用的デザインですね。
ただしまあ、上から軍艦部を見ますと液晶パネルとボタン群。
電池が切れたらフィルムの回収すらできないロボットくんであります。このあたりは本格派とは呼びがたい(プロ用の電子制御カメラは万一の事態に備えて手動の巻き取りクランクも併設しているものなのだよ)。
露出の計算表があります。
あれ? これって、よく見るよね? とあるカテゴリの製品でサー。
あれれ? ってことは……?
こーゆーことでした。
超個性的トップ部分は、実は着脱式の専用ストロボなのです。
ストロボ外したら何これ?
メッチャ硬派なデザインになっちまいました!
この状態でカタログに載ったり店頭に並んだりはしてなかったはずですから、まったくの別機種と思うでしょうね、誰でも。
230-AF の発売より前に京セラは老舗のカメラ・メーカーだったヤシカを吸収しており、既にカメラ会社としての立ち位置は確保していました。ただし、引き継いだ製品群はヤシカ・ブランドのままで扱っており(二眼レフのヤシカマットなど)、また、ヤシカが独逸から権利を受けていたコンタックス・ブランドも継承、いわゆる「京セラ コンタックス」として製造販売が継続されました。京セラになって開発されたコンタックスはコンパクト・カメラの「コンタックスT」からかな?
という経緯もあり、京セラが「京セラ」として出してきた意欲作が、この 230-AF と姉妹機 210-AF なのでしょうか(230 には金の、210 には銀のロゴというところで上下関係を演出している)。
超個性的デザインは、オーソドックスなヤシカ品との差別化を図ってのことではないかと推測します。定番「ヤシカ」と高級「コンタックス」に続き、最先端「京セラ」という第三のカメラ・ブランドを構築しようとしたのかもしれませんね。
ちなみに、この 230-AF の頃だと思いますが、京セラはアンプやCDプレーヤなど高級オーディオ製品にも手を出しており、重量級アンプを支えるインシュレーター(足)に、お得意のセラミックを使っていることを売りにしていた記憶があります。1980年代は京セラが(無闇やたらな)業務拡大に走っていたのでしょうか。
ぶっちゃけ。
ミノルタαとキヤノンEOS が拮抗する当時、AF一眼レフを買おうと店に赴き多々ある中からこの機種を選んだ人は、かなりの好事家かヘソ曲がりか、あるいはまったく予備知識のない初心者あたりではないかと思います(予算潤沢で京セラ製一眼レフを買うならフツーはコンタックスに行くし、低予算で一眼レフならMF機種に向かう)。
それほどに立ち位置の不思議なAF一眼レフという印象ですね(笑)。
というわけで「京セラ」ブランドのレンズ交換式一眼レフ代表選手に並んで、(いちおう)コンパクトの代表選手として SAMURAI に来ていただきました♪
つか、フルサイズの 230-AF より、ハーフサイズの SAMURAI のほうが図体デカいって、どゆこと?(笑)
この SAMURAI も、業界後発ブランド「京セラ」の爆弾商品だったと思いますよ。
他社が全然やってないところに爆撃したもんなー。