一粒万倍日、鶴岡八幡宮流鏑馬 (旧暦 葉月廿一日)

『世界が騒然! 本当にあった(秘)衝撃ファイル【UFO&怪事件SP】』


 後半の女性失踪事件は、たしか以前に『何だこれ!?』でやってたと記憶してますから、今さらでした。


 肝心なのは前半。
 各地のUFO事件に絡めて、プロジェクト・ブルーブックとアレン・ハイネック博士に触れたのは、たいへん良かったです。
 ただ、できたらもう少し掘り下げていただきたかった。せっかくメン・イン・ブラックの元メンバーを自称する人の証言も取り上げたのですから。

 第二次世界大戦で正体不明の「フー・ファイター」に悩まされてきた米軍が、UFOつまり「unidentified flying object」(今で言う「アンノウン」程度の意味)を国防上の脅威つまりはソ連の秘密兵器である可能性を考えて専門の調査チームを立ち上げた。それがプロジェクト・サイン。
 あれこれ調査したサインはUFO地球外起源説の可能性を報告し、それが空軍のお偉いさんの怒りを買ったため、プロジェクト・グラッジへと改編されることに。
 そのグラッジは、足早に「UFOは国防の脅威ではない」とする調査結果を出して活動を終了。説明のつかない目撃を観測気球ということで強引に済ませたことで悪名高い。
 それでも世論が静まることはなく、空軍の中にも真剣に考える士官がいて、それがプロジェクト・ブルーブックの立ち上げに繋がることに。
 このブルーブックは基本に立ち返って活動していたものの、指揮を取っていたルッペルト大尉の空軍内での立場がなぜか悪くなり、またサインの頃からUFO否定派ながらも科学者として真剣に取り組んでいた顧問、アレン・ハイネック博士も次第に「沼地ガスによる発光現象」を安直に連呼するようになり、けっきょくブルーブックは大尉の手を離れ「UFO否定機関」に成り下がってしまった。
 つまるところ、サイン→グラッジ→ブルーブックという変遷の中で、米軍とその上が望んだのは「UFOの完全否定による世論の沈静化」のみだったということ。

 ハイネック沼地ガス博士はブルーブックが閉鎖された後に、空軍の姿勢を批判。熱烈なUFO肯定派へと転じたことでも有名です。巷に知られる第一から第三までの「接近遭遇」という用語は博士が提唱したもので(「第四種接近遭遇」のみ別の研究者による追加定義)、この用語を元ネタにしたスピルバーグ映画『Close Encounters of the Third Kind』(邦題『未知との遭遇』)にて博士は科学面でのスーパーバイザーも務めておられます。
 博士の晩年については、あの『ムー』に記事がありまして(ただし並木さんの記事なので話半分ではありますが)。とあるUFO研究家が博士の自宅を訪問してインタビューの帰り道、黒い車に尾行された。という話。その研究家は、半分隠居の博士が M.I.B. の監視下にあると確信したそうで。ついでとして、尾行してきた M.I.B. は目玉が光っていたので異星人タイプのほうだろう、とも。

 そう。 M.I.B. には二種類あります。
 一つは、隠蔽工作や脅迫などを担当している機関の人間で、服装や車が黒くて、しかも時代遅れ(1970年代の目撃でも 1950年代のファッション)なのが特徴。
 もう一つは、異星人が地球人に化けているタイプ。こちらも黒ずくめだが、際立った特徴は、姿勢や動作が歪だったり、子供でも知っている常識(例えばスプーンの使いかたとか)を知らなかったり。
 とは言え、後者も含めて軍による情報操作目的の猿芝居である可能性が高いでしょう。わざと目立つ格好や言動で脅迫対象に印象づける。しかも脅迫されて恐怖を憶えた人が体験を周囲に語っても、M.I.B. の滑稽な言動のせいで、聞いた人は本気にしない。という狙いかもしれません。実際、M.I.B. は、L.G.M.(リトル・グリーン・マン)同様にUFO関連の話を揶揄する言葉としても使われましたからね。あるいは、比較的好意的な否定としての都市伝説扱いか。「ほら、また出たよ(藁」ってな感じです。

 番組に出てた元メン・イン・ブラックさんは眉唾ですね。
 U.S.A. に限らず、まともに国防を考えている国では公職について「お口にチャック」が生涯つきまといます。退職しても守秘義務は消えません。後期高齢者となっても情報を漏らせば酷い目に遭います。
 そう考えると、あの元MIBさんは、ドナルド・トランプ並みに軽率なのか馬鹿なのか。
 であれば、単なる偽物か、あるいは米軍の仕込みと考えるほうが有力でしょう。番組内で言っていたとおり、偽情報をバラ撒いて研究者たちを混乱させるわけですね。
 ちなみに「Men in Black」とは巷が勝手に呼んだ俗称にすぎません。目撃証言がすべて黒服黒帽子サングラスだから「黒ずくめの男たち」と誰言うともなく、そうなっただけのこと。日本では当初「ブラック・メン」と呼ばれてましたし。
 情報操作のための秘密部隊の公式名称が「Men in Black」だなんて、映画の観すぎか、その原作のアメコミの読みすぎです。


 この手の番組に雛壇芸人は要らんですよ、やっぱり。
 この番組では、素直に喋ってるしょこたんはいいとしても。映像に対する高橋さん鈴木さんの合いの手が、いちいち盛り上げようとわざとらしくて明らかに本気にしていない感が強くて、ただただ邪魔。
 昔の矢追さんのみたく、ナレーションのみで進められないんですかね。芸能人のギャラ要らずで他のことに予算を回せますし、いいことずくめじゃね?


 ところで、UFO撮影のベテランでコンタクティーでもある武良さん。
 宇宙人とコンタクトできるんですから、「地球の地下資源を勝手に取らないで」って言ってくれません?
 あれじゃ『ウルトラセブン』のシャプレー星人ですよ(苦笑)。