大つち (旧暦 弥生五日)

 これは凄いですね。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200327-00000059-mai-soci

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200327-00010002-bbcbiwakov-l25

 近江の國友村は鉄砲鍛冶集団の地であり、要するに刻の権力者御用達の兵器工房です。
 鉄砲と言うと堺の地名が出てくるのが常ですが、技術力では國友村のほうが上ですね。特に天下泰平の世になってからの堺の鉄砲は装飾にばかり力を入れて……(このあたり、『子連れ狼』に詳しく描かれている)。
 そんな國友村の中で、藤兵衛一貫齋は際だって優れた鉄砲鍛冶……と言うか技術者でした。記事にある望遠鏡のみならず、顕微鏡も作ったはず。また、作品の飾りとしてのエッチングには梅酢を使うという工夫をしたそうな。
 彼の仕事で最も凄いと思われるのは、南蛮渡来の風砲(空気銃)を参考にして、攻撃力のある早打気砲(連発空気銃)を完成させたことだと思います(桜の板を貫通する能力があったとのこと)。昔の『Gun』誌に、現物(超々希少品)の所有者を紹介した記事がありました。面白いのは、発射のエネルギー源となる空気をどのくらい入れたかを確認するシステムとして銃を吊して傾きを見る、つまり天秤秤の要領で銃床(エアボンベになっている)の重さを見て空気の量を読んだ点です。お判りでしょうか。一貫齋は空気に重さがあることをきちんと認識していたのですよ。
 他にも、渡来の時計を分解して改造を施したりと、探究心・好奇心の塊だったようですね。しかも、それから得た発想を確実に実行するだけの高い技術を持っていた。

 発想力はそこそこあっても技術と論理的思考回路に欠けた平賀源内との、ここが圧倒的な差だと思います。
 源内が天才発明家? 寝言は寝てからどうぞ。奴は企画マン、プロデューサーですよ。

 一貫齋に限らず、國友村の鉄砲鍛冶たちは実戦を考えたユニークな鉄砲を作っていたようです。
 複数の銃身を束ねたものを手動で回す連発火縄銃、つまりリボルビング・ライフル(近いものが『子連れ狼』に登場。ただし劇中では図面のみで、しかも堺の鉄砲とされた)とか。
 複数の銃身を扇状に配置、一斉に発射して弾幕を張る火縄銃(『子連れ狼』で「斉発銃」の名で登場し、大五郎の箱車に装備された。ただし劇中では堺の以下同文)とか。
 もちろん究極は早打気砲に決まりですけどね♪

 一貫齋と、からくり儀右衛門が双璧でしょうね。
 徳川時代の名エンジニアは。