無責任社会

「警察が動くのは、あんたの死体があがってからさ」

 と言ったのは、スイーパーの冴羽ですが。
 警察は犯人を捕まえる、つまり検挙率という成績を上げることにしか興味を持たず、犯罪を未然に防ぐ気がサラサラないことが、今回の悲劇であらためて判った形でしょうか。
 ニュースを観る限りでは、今後の展開も容易に予想できます。容疑者は精神疾患を理由に無罪、あるいは不起訴になるでしょう。被害者のかたがたこそ、浮かばれません。
 刑事責任能力のない人が外を出歩くのは、ブレーキの壊れた車が公道を走るようなものです。
 車であれば、所有者、運転者、整備担当者あるいはメーカーが責任を問われます。
 ですが、精神疾患者が犯罪を犯した場合、当人はおろか誰も責任を取りません。なのに、外を出歩いてもいい。刃物を所持していてもいい。こんな無責任な話がありますか?
 その昔、精神病院は「既知害病院」と揶揄されていました。制御できない精神疾患者を鉄格子の中に閉じこめることで、社会にあだなすことを予防していたわけです。
 さすがに精神疾患すべてを既知害扱い、十把一絡げにして軟禁・監禁するのは、やりすぎです。だからこそ批判を受けて改善された。でも、その“改善”が行き過ぎたのが、今の状況ではないでしょうか。
 少なくとも「食べたかった」だの「ネズミ人間が」だの「もう一人の自分が」だの「電波が」だのと口にするような、要するに明らかに「まともじゃない」輩は、専用の収容施設に入れて専門家の監視下に置くべきです。無論、精神科医の厳正な診断を経たうえでね。そして適切な治療を行う。回復すれば退院してもらう。
 それをせず、乱暴に精神疾患者の人権ばかりを尊重するのは、一般人の一人として恐怖です。システムの改善を強く望みます。

 この問題。
「未成年者に刑事責任能力がない」とする少年法にも言える欠陥です。
 誰かが責任を取らない限り、無責任な事件は減りません。
 酷い目に遭うのは、いつも無関係な一般人であり、本当に「やられ損」です。他人様のこととは言え、腹立たしいです。