河童忌 (旧暦 水無月十七日)

猿の軍団』というTVドラマが、かつてありました。
 タイトルから誰でも想像できるとおり、言ってしまえば、U.S.A. 映画『猿の惑星』のパクリ作品です。未来の地球は猿が支配している、という物語世界ですからね。
 この頃の日本TV界は、こんなんばっかでしたね(五人兄弟によるユニット「フィンガーファイブ」とか、ヒットした洋楽の安っぽい邦訳とか、何より昭和のタイツ・ヒーローなんて全部アレやん)。まるで、昨今の中韓ばりのパクり放題……。

 ところが、この『猿の軍団』、案外と評価が高いのですよ。
 ストーリを担当したのが、小松左京さん、豊田有恒さん、田中光二さんという三本柱だったため内容面で本格的SF作品になったのが理由だとされています。
 円谷プロ作品だというのが高評価につながった、とする説もありますが、これは嘘です。当時の円谷は『ウルトラマンレオ』の大失敗でミソつけてましたからね。むしろ「英二さんも一さんもいない円谷は、やはりダメだ」というのが一般的意見だったでしょうし、そのとおりだと『タロウ』や『レオ』の出来を見れば(信者を除き)誰でも思います。

 ストーリの質が高いにもかかわらず、タイトルと設定で損をしている印象を持ちますが。
 ヒットした『猿の惑星』のパクりだからこそ当時のTV局が制作を許可した、と考えられるのですよね。つまり「猿による地球支配」をからめないと、この作品は世に出なかった。
 それってどうよ、と思います。言ってしまえば、かなり面白いゲームなのだが、そのままでは制作・発売にゴーがかからないのでエロゲにした、みたいなものですから。

 実は私もタイトルだけで「ああ、パクりか」と、観たことがないのですよ。
 たしか『宇宙戦艦ヤマト』と時間が被っていたことも理由だったかと思います。

『荒野の七人』のような成功例もありますが。これは国際視野ではマイナーな日本作品をメジャーなハリウッドが本気出してパクったからであって(事前に『七人の侍』側へ正式な交渉済み)。
 安易なパクりは、やはり損することのほうが大きい気がしますね。