入梅、三隣亡 (旧暦 卯月廿一日)

 EXA-DB 。
 どこぞのロック・バンドかと思ったじゃねーか。

 唐突に重要アイテムが出てくる乱雑さにも、もう慣れました。これが「AGE クオリティ」なのでしょうから……。
 キオ編で、こんなアイテムを出すにも、フリット編とアセム編で伏線張っておかなきゃダメですよ(それとも、ありました? 私は何度も観逃した回がありますから、もしもあったのなら失礼しました)。

 ただ、それにしても出しかたが下手すぎますね。
「EXA-DB」ってのは要するに「ロスト・テクノロジー」と解釈すればいいのですよね。ヴェイガンの進んだ科学力、例えば戦艦の偽装技術なども、それの一部を使っている。
 だから、それが今になってすべて表に出てしまうと、世界の秩序が狂ってしまう。

 言いたいことは判らなくもありません。
 が、画から伝わらないです。

 銀の杯条約でMS兵器を廃棄した世界。MSのノウハウは EXA-DB に封印された。
 というなら、そもそもフリット編にて連邦にMS兵器を使わせるべきではありません。UEだけがMSを使い、そのため連邦は苦戦。そこにアスノ家によるガンダムが救世主として登場する。
 これがセオリーでしょう。こうしないと、失われた技術の凄さが伝わりません。

 ガンダム好きには既視感があるかと思います。
 そう。「EXA-DB」を「黒歴史」と読み替えれば、『AGE』世界の戦闘をどう演出すべきかは明々白々なのです。
 いきなり襲いかかってきた月のMS部隊を相手に、当初ミリシャはプロペラ戦闘機の機銃で交戦したのですよ。で、そこにホワイトドールが救世主であるかのように出現し、後には遺跡から発掘したボルジャーノンなどもミリシャの戦列に加わった。

 制作……と言うか構成の思惑を想像するなら、アスノ家に代々伝わる AGEデバイスや、マッドーナ工房は、ヴェイガン同様、EXA-DB の一部分を使っているのでしょう。
 が、それでも伏線としては弱すぎますね。もっと、きっちり張っておかないと。
 それと、そうであったとしても、封印されたはずのデータを、アスノ家、マッドーナ工房、そして偉大なるイゼルカント様は、一部分とは言え、どうやって入手したのかも大いに疑問です。封印漏れでもあったのかい?

 EXA-DB が凄い凄いっていくら登場人物たちに言わせても、言葉だけでは演出のレベルですらありません。漫画や小説の原稿もなしにストーリを口でペラペラ説明する程度でしかないですね。
 本当にプロが仕事してるんですかね、『AGE』って……。



 あの海賊船の判りやすいデザインを見てもね(少なくとも、富野ガンダムであれば海賊船が出るとしても地味な外見になったはず。本当の海賊が、そうですからね)。
『AGE』は最初からキオだけを主人公に、子供向けスパロボをきっちりやれば、よかったんですよ。それで、最初からお宝の争奪戦にしておけばサー。