終い天神 (旧暦 霜月廿七日)

 この件。
 一番の被害者は誰なんでしょうね。

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1612/25/news011.html

 お客?
 いえいえ。妖之佑は各店舗の店員さんたちだと思うのです。

 会社側の公式発表がないので原因は想像するしかありませんが。
 まあたぶん、システムが際限なく注文を受け続けてしまい実店舗の処理能力を桁違いに越えてしまった、ということでしょうね。
 つまり、管理の問題ということ。
 そもそも、今は会社のすべてを数値化して管理するのがデフォのはずで。なので上は店舗ごとの、例えば一時間に何枚のピザを焼いて届けられるか、みたいな処理能力を把握しているはずです。ならば最初から、その数値をシステムに設定しておけばいい。上限を越えたら自動で受注停止にするなど技術的には容易なことでしょう。
 それをしなかった管理側の大失態。
 気の毒なのは店舗で働くかたがたです。落ち度なんてないのに、頭に血が上ったお客の怒声を浴びせられたわけですから。
 だいたい、今年のイヴは土曜日になるという時点で、どうして大混雑を想定しなかったんでしょうかね。信じられませんよ。

 まあ、この土曜日がイヴという件については、お客側にも責任と言うか、見込みの甘さがあったと思いますよ。
 だって、土曜日でイヴで、しかも三連休の真ん中ですよ? ピザ屋に限らず、すべてのサービス業が大わらわだなんて、誰でも判りそうなものじゃありませんか。なのに、宅配ピザに今夜のパーティーを全面依存し、その結果がパーティーの予定が台無しになったなんて、阿呆すぎて笑います。自業自得と言ってもいい。こんな奴を幹事にしたら、忘年会もおシャカになりまっせ。
 例えばね。漢字も読めない、九九の計算もできない、ただただイヴに合体することしか頭にないバカップルであっても、イヴのレストランやホテルの予約が大変だ、くらいのことは十二分に知ってますよ。なら、それをもう少し広げて考えるだけのこと。
 なのに、どうして土曜でイヴの日にピザの予約なんてしますかね。リスクありすぎでしょ。
 ちょっと考えれば、お店が大忙しになるのは想像できる。となれば、当日のサービスが通常よりも雑になる可能性が高い。普段と同じお金を払っても、普段と同等のサービスを受けられない。つまり損することになる。
 他の例えなら。ほら、連休の行楽地で延々と駐車場待ちして車の運転席でイライラしている人って、バカとしか思えないでしょ。

 つまりは、そゆこと。
 イヴにピザを頼むのもいいけど、とにかく皆さん忙しい夜ですからね。第二候補、第三候補を用意しておくくらいのことは、やってもいいと思うわけですよ。
 なのに“ピザ命”で、その唯一の予定が遅れたことを怒り、店員さんが泣くほどに喰ってかかる。
 店員さんを責める前に、自分の甘さを反省しろよ。

 ホント、店員さんたちは、お気の毒でした。

 人気急上昇中だった藤子不二雄のお二人が、自分たちのキャパも考えず執筆依頼をどんどん受けまくった挙げ句、すべての原稿を“落とした”のは、そしてそのために干されたのは、今や伝説的なお話。当時、まだまだお若かったための大失敗ですね。
 実のところ、ピザ屋のシステムが無限に注文を受けたのは、そう設定されていたのかもしれないな、とも思うのです。某牛丼屋のワンオペ問題に見られるように、昨今の経営者は、すべて現場に押し付けてしまう傾向が強いですからね。現場に無理させてコストダウンを図るという稚拙な手法。クリスマスで言えば、売れ残りケーキの現場買い取らせなども、そう。経営側は自分でリスクを負わず、現場に負わせ、それで自分たちの財布だけを膨らませる。
 ひょっとして、今回のことも上の見通しの甘さなどではなく……? とか思ってみたり。