八せん終わり、三隣亡 (旧暦 師走廿八日)

 やはり『3』は駄作だった。
 と確認できました。

 ポイントがズレてて、ストーリの軸がはっきりしないんですよね。
 テロリスト組はグダグダだし、ウザい本部長も宙ぶらりん。

 ともにハリーにとっての“敵”なのですから、どっちかに焦点を絞ったほうがよかったんでね?
 絞れてないから、ベクトルが分散してしまう。

 一作目の市長や署長の出番が適量なのでしょう。対して、『3』の本部長は出番多すぎ。
 いっそ、テロリストを完全な端役に留めて、ハリーの敵を本部長だけにしたらよかったかも。
 実際、この本部長、警察での自分の役職をさらなる出世に利用(市長に媚びを売る目的での言動)してるだけで。ために、現場の捜査をメチャクチャにしてますから……って、それじゃ内容が刑事物じゃなくオフィス物になっちまうか(笑)。

 ディジョージォの殉職は、まあストーリ上の必然と言えますが。
 ムーアの場合、単に監督に「殺された」だけって感じ。ラスト・シーンに余韻を出したいから「こいつ、殺しとこ」って程度の。
 よくもまー、こんな下手で雑な監督に、イーストウッドさんが怒り出さなかったものです(市長誘拐のシーンでNG出さなかったあたり、「監督、やる気あるのか?」とまで思いましたよ)。

 褒めるところは、ハリーとムスタファの、かけあいくらいですね(ある意味、彼こそが今作品でのハリーの真の相棒とも言える)。
 ムスタファの中の人は、シリーズに欠かせない、あの役者さんですから、阿吽の呼吸があったのかもしれません。

 他は良いところ皆無です。
 街で爆弾犯を追跡するシーンはダラダラ長すぎるだけで、フィルムの無駄遣いですし。
 テロリストと繋がっている神父の描きかたも中途半端でした。
 クライマックスであるアルカトラズ島での闘いも、盛り上がりに欠ける。

 同じアルカトラズ島を舞台、同じクリント・イーストウッド主演という『アルカトラズからの脱出』は傑作だと言うのに。
 まあ、こちらの監督はドン・シーゲルさんですがね。『ダーティハリー』一作目の♪


 ですが。
「シリーズで『3』が一番好き」という声もあるのですから、人の受け取りかたは、まさに「千差万別」「十人十色」なのですね。
 個人的には「あんなケツの穴の、どこが良いんだ?」と訊きたいですがね(笑)。


『4』は『3』からかなり年月を跨いでいることと、イーストウッドさん自らメガホンを取った作品ということもあり、空気がガラリと変わってしまいます。ハリーの思想も激変してますし(つか、ヒロイン役に自分の女を起用するなんて、チャップリンの真似ですかね。ここが『4』の一番気に入らなかったところですよ、私は)。
『5』は観たはずなのに、記憶がない。という程度の作品だったのでしょう。
 来週、再来週が別の意味で楽しみです。(;^_^A