二百二十日 (旧暦 文月廿四日、地蔵盆)

 無駄死にの積み重ね。

 ストーリを担当しているあの社長氏はガンダム好きを自認しておられるようですが。

 あんたは何も判っちゃいない。

 まあ、「ガンダム好き」ならぬ「種ガンダム好き」というのなら判らんでもないですがね。

 キオ編序盤の内通者ねーちゃんも、そうでしたが(つか今回、唐突に回想シーン来たな)。ただ戦死させるのが目的で登場させては殺してるという感じで脚本に不愉快さを憶えます。
 ったく、暴走した富野監督、通称「黒トミノ」の真似なんて、する必要はないのに。やるなら劇場版『イデオン』くらいに徹底しないと無意味ですよ(自分的には『V』ですら中途半端な黒トミノ暴走だと思っています)。

 けっきょく、あの兄は何のために出てきたのか。つか、Xラウンダーだったなんて、火星滞在時のどこにも描写なかったぞ。
 兄を出すなら出すで、もっと出番を与えないと、マジ無駄キャラですよ。

 ついでに言うと。
 兄が思い描いていた地球に作る妹の墓地、その美しい光景って、あり得ないんですけど。
 セカンドムーンにて三人で高台に上がったシーン。あそこで荒れ地に並ぶバラック建ての街並みを見下ろしながらルウが言った「綺麗」、そして「地球は、もっと綺麗なんだろうなあ」という台詞で、ヴェイガン貧困街の人たちは地球感覚での「美しい光景」というものをまったく知らずに育ってきた、という暗い事情が判ります(明らかに上からの情報統制がなされていますね)。キオも、それに気づいて強い違和感、というかショックを受けていたはずです。それも、キオが不殺の闘いを選択する動機になったはずです。
 このシーンは『AGE』の中では珍しくきちんと考証された部分だと感心していたのです。
 なのに兄のあの願望で台無しです。貧困街の住人には、そもそも地球の美しい光景を想像することすらできない。それこそがヴェイガンの悲劇のはずです。なのに、なんで兄は、あんな光景を脳裏に思い描くことができるのですか?
 登場させるだけ無駄どころか、出すことで構成を台無しにしてしまうとは……。

 中佐については言わずもがな。
 思えばウルフのときも中途半端な退場だったよなぁ。
 どっちも、自意識過剰で上官の命令を無視する若年パイロットが原因ですがね……ったく、アスノ家の男子って、みんな死神かよ。
(ここでフリット爺さんが焦ってたのは意外だった。平然と「かまわん。撃てっ」と艦長に言うと思いましたよ。つか、フォトンブラスター、もしくはそれのコピーを他艦にも装備しておけばいいだけなのだが、なんでそれができないかの説明もないよね。AGEビルダー製だからってだけでは説明不足)

 とにかくキャラを死なせさえすれば視聴者は簡単に感動するとでも思ってるんですかね。
 キャラが退場して視聴者が涙ぐむには、それなりの積み重ねか、あるいは存在感が必要なのですよ。リュウ・ホセイやマチルダさんのようにね。
 意識はしているのでしょうが失敗し続けてますね、『AGE』では。
『AGE』でのキャラの退場のさせかたは、精々頑張って無理して好意的に言っても、ガルマやデギン公王、レビル将軍らが退場した手法でしかありません。視聴者を泣かせる目的ではなく、戦局の展開にとっての必然性という方向ですね。

 やっぱり社長氏は何も判っちゃいない。
 誰だよ、こんなのを主スタッフに加えたのは?