(旧暦 閏弥生六日)

 レインボー戦隊
 『レインボー戦隊[完全版]』
  風田朗/復刊ドットコム


 どのくらいの人が、ご存じでしょう。

 石森章太郎藤子不二雄など、かのトキワ荘グループによる作品です(ここでの「風田朗」は共同ペンネームと解釈するのが妥当)。

 東映からアニメ化を前提とした作品依頼だったそうで。
 アニメでは『レインボー戦隊ロビン』となっています。

「レインボー」の名のとおり、パワー、火器、索敵……等々、それぞれの分野に特化した七名で構成された戦隊です。

 既視感あります?
 ありますよね。

 そう。

 石森さんの『サイボーグ009』と類似しているのですよ。
 作戦・分析担当の教授、索敵担当のレーダー(アニメではベル)、射撃専門のウルフ、怪力のベンケイは、それぞれ、001、003、004、005と対比できます。主人公のヒカル(アニメではロビン)は009の立ち位置になりましょうか。ヒカルの服装も、どことなくゼロゼロナンバーの戦闘防護服に似てますし。

『009』の初出が1964年。
『レインボー戦隊』は1965年。
 ということで、石森さんにして、ご自身の作品に引っ張られたのかもしれませんね。

 内容は、さすがに今のレベルで見れば、厳しいものがあります。1965年当時のもの、というハンデを付けておかなければ可哀相でしょう。
 ただ。トキワ荘メンバーの一角、藤子不二雄さんによる『海の王子』(1959年初出)の絵やストーリと比較しても、『レインボー戦隊』はかなり荒いです。もちろん石森さんの『009』と比べても。
 思うに複数名による合作というのが弱点になったかもしれませんね。それと、あくまでもアニメ化前提なので、本命はアニメだったということも、あったのかも……。

 面白い点としまして。
 主人公ヒカルの境遇がね、ずっと後に世に出た、石森さん原作の『宇宙鉄人キョーダイン』の葉山健治に、よく似ているのですよ。
 石森さんはどこかで『レインボー戦隊』をずっと気にかけていて、つい『キョーダイン』でシンクロしてしまったのかもしれませんね。


 この「完全版」だけでなく。
「冒険王」連載版の復刻もお願いしたいものです。
(記憶では、こちらのほうが絵もストーリも丁寧だった。まあ描いた人が違いますけどね)