八せん始め (旧暦 睦月丗日)

 自室謹慎。

 えと……甘すぎませんか?
 ウルフ隊長は「大目に見てやれよ」と艦長に言いましたが、充分すぎるほど「大目」でしょう。
 アスノ司令の圧力でしょうか。

 かつて、ヤザン・ゲーブルが邪魔な上官であるジャマイカン少佐を排除した手法ですよ、あれ。

 ヴェイガンのMSパイロットが「あっち向いてホイ」に弱かったからいいものの、ねぇ。
 アセムより強かったら、あるいは逆に反応が鈍かったら、ディーヴァは沈んでます。少なくとも艦橋だけは確実に大破してますね。

 ということで、アセムの自分勝手は重大な命令無視であり軍法会議モノだと思います。で、まちがいなく有罪、軍刑務所行きですよ。司令の圧力がなかったらね。
 ウルフはアセムをぶん殴るべきでしたし(ブライトさんもウォン・リーさんも、そうやって自意識過剰な生意気新人パイロットを一人前にしました)、艦長はアセム軍法会議をほのめかし己の行動の無謀さ危険さを思い知らす、つまり脅すくらいは最低限すべきでした。
 この件について、ディーヴァにアスノ司令からの圧力があったならあったで、きちんと描写すべきですし。
 ここの明確なフォローがないと、今回の演出が中途半端に思えます。アセムをどういうキャラにしたいのかがね。

 もう一つ。
 そもそもディーヴァのMS隊の構成がね。
 ウルフの部下四人のうち実戦経験ありは、ブルース・リーっぽい髪型のあいつ一人だけ。残り三人はペイペイの新人って……そこまで戦況は厳しいのでしょうか? 少なくともアセムの学園生活を見る限り、それは感じられませんでしたが。
 つか、ついこないだまで学生だった新兵をすぐに実戦配備するほどに深刻な兵士不足なら徴兵制度すらやってますよ(「ゲルググ、ドムの動きが目立たんのは、どういうわけだ?」とキシリア殿も、おっしゃってましたな)。

 そして。
 少なくとも公には実戦経験ゼロのアセム・アスノ伍長(いや、入隊して間もない新人が伍長って……それも変すぎないか?)を、連邦の命運を賭けた AGE2 に乗せるという暴挙。
(作り話に対して余計なことですが、今の戦闘機に照らして考えますと、超高価なはずのMSを操るパイロットは士官であるべきです。つまり最低でも少尉。ガンダム作品で言えば『Z』のティターンズにおける階級構成や、『0083』のコウ・ウラキ少尉などが正しいのです。『0080』のアレックスのテスト・パイロットもマッケンジー中尉でしたね)

 たしかに、アムロカミーユも、新人でありながら期待の新型MSを任されました。
 が。
 アムロの場合は、正規の軍人大半が死傷してしまい、仕方なくMSを動かせる者たちがパイロット代理をやらざるをえなかった状況でのこと。皆が生き延びるために。
 カミーユの場合は、ブレックス准将、ヘンケン艦長、そしてクアトロ大尉も「アムロ・レイの再来」を期待した。
 と、それぞれ、ちゃんとした理由があったのです。

 アセムの特別待遇が父親の手回しなら、劇中でちゃんと説明すべきでしょう。
 ほのめかしではなく、明確に。

 ついでに。
 オペレーターも大事な仕事です。ペイペイの新人が座っていいんでしょうか? ディーヴァの行く末が本気で心配になります。
 ホワイトベースで言うなら、艦内一番の働き者ペアであるオスカとマーカーの座席ですからね、あそこって。

 変に旧作を意識して、無節操にあれこれパクるわりに。
 肝心な部分がほとんどスルーなんだよな、『AGE』の脚本って。