「やおい」って、こーゆーものを言うんだねー。
と実感いたしました。
それほどまでに評価に値しない『借りぐらし』でした。
いえね。
最近のジブリ作品の中では、まとまってるほうだとは思います。
ですが。まとまってはいるものの。
観終わって、
何も残らなかった
というのも、ある意味、凄いです(原作レイプ、ここに極まれり。といったところでしょうか)。
作画の質は、まちがいなくA級一級でしょう。
珍しく、声を担当なさった俳優さんたちも健闘なさったと思います。
制作に大金がかかっているのは、よぉく判ります。
一流ブランドが鳴り物入りで世に送り出した一流品。
それは、まちがいない。
でも、心に何も残らなかった。
はっきり言いまして。
提灯記事を書く映画評論家どもを別として。
これを賞賛する人、これの Blu-ray を買おうという人。いったいどういう層なのかが想像できないのです。いや、本当に。
私の感覚では、ネタ目的でC級作品買うほどの意味すら、ありませんよ。
なんかね。
『借りぐらし』って、起伏が、なさすぎるんですよ。
この作品中で唯一、毒っぽいハルさん。彼女の策略が唯一の山場なのですが。その動機はと言えば子供の昆虫採集レベルでしかない、つまりは、ハルさんですら純真なわけです。
宮崎監督の企画って、どこかに「悪」があったんですけどね。
21世紀に入って、回を重ねるごとに、その「悪」がなくなっていく(『魔女宅』の街の暖かさや、『豚』の空賊連中が善人揃いというあたりが、その初期症状かもですね)。
これって、娯楽作品としては死活問題ですよ。
(例外は『トトロ』。あれだけは全員純真でOK!)
お行儀よくなったのか。
あるいは、宮崎監督はご自身の作品(『借りぐらし』は脚本だけですが)を娯楽作品と思っておられないのかもしれませんね。
ご自身に「アニメ作家」という造語の肩書きをつけるくらいですから、芸術家気取りなのかもしれません。
ですが。
アニメは、やはり娯楽作品です。
仮に芸術として評価を受けるとしても、作る段階で芸術であってはならないと思います。
そして。
「芸術は爆発だ!」という有名な言葉があります。
「爆発」のない作品が芸術になることも、またありえないのです。
つまり。
宮崎監督は何をしたいんでしょうか。
ということです。
凡俗な私には理解できません。
とにかく。
世間が、そろそろ日テレ&ジブリの商売に見切りをつけてもいい頃ではないかと思うのです。
だって。
ちっとも面白くないんですから。
ついでに、けなしておきますが。
借りに行く父親が、レンジャー部隊みたいな冒険野郎みたいなのも。
小人一家の暮らしがファンタジー的でなく現代的文化的なのも。
特にジブリの独創というレベルではありません。
半世紀前に世に出たアニメ作品『トムとジェリー』や『001/7 親指トム』で、すでにやっている演出ですからね。
原作での小人一家の暮らしぶりがどうなのかは、気になりますね。
そのうち読んでみるか。