浅草寺歳の市羽子板市 (旧暦 霜月廿三日)

やおい」って、こーゆーものを言うんだねー。

 と実感いたしました。
 それほどまでに評価に値しない『借りぐらし』でした。

 いえね。
 最近のジブリ作品の中では、まとまってるほうだとは思います。

 ですが。まとまってはいるものの。
 観終わって、

 何も残らなかった

 というのも、ある意味、凄いです(原作レイプ、ここに極まれり。といったところでしょうか)。

 作画の質は、まちがいなくA級一級でしょう。
 珍しく、声を担当なさった俳優さんたちも健闘なさったと思います。
 制作に大金がかかっているのは、よぉく判ります。
 一流ブランドが鳴り物入りで世に送り出した一流品。
 それは、まちがいない。

 でも、心に何も残らなかった。

 はっきり言いまして。
 提灯記事を書く映画評論家どもを別として。
 これを賞賛する人、これの Blu-ray を買おうという人。いったいどういう層なのかが想像できないのです。いや、本当に。
 私の感覚では、ネタ目的でC級作品買うほどの意味すら、ありませんよ。

 なんかね。
『借りぐらし』って、起伏が、なさすぎるんですよ。
 この作品中で唯一、毒っぽいハルさん。彼女の策略が唯一の山場なのですが。その動機はと言えば子供の昆虫採集レベルでしかない、つまりは、ハルさんですら純真なわけです。

 宮崎監督の企画って、どこかに「悪」があったんですけどね。
 21世紀に入って、回を重ねるごとに、その「悪」がなくなっていく(『魔女宅』の街の暖かさや、『豚』の空賊連中が善人揃いというあたりが、その初期症状かもですね)。

 これって、娯楽作品としては死活問題ですよ。
(例外は『トトロ』。あれだけは全員純真でOK!)

 お行儀よくなったのか。
 あるいは、宮崎監督はご自身の作品(『借りぐらし』は脚本だけですが)を娯楽作品と思っておられないのかもしれませんね。
 ご自身に「アニメ作家」という造語の肩書きをつけるくらいですから、芸術家気取りなのかもしれません。

 ですが。
 アニメは、やはり娯楽作品です。
 仮に芸術として評価を受けるとしても、作る段階で芸術であってはならないと思います。

 そして。
芸術は爆発だ!」という有名な言葉があります。
「爆発」のない作品が芸術になることも、またありえないのです。

 つまり。
 宮崎監督は何をしたいんでしょうか。
 ということです。
 凡俗な私には理解できません。

 とにかく。
 世間が、そろそろ日テレ&ジブリの商売に見切りをつけてもいい頃ではないかと思うのです。

 だって。
 ちっとも面白くないんですから。



 ついでに、けなしておきますが。

 借りに行く父親が、レンジャー部隊みたいな冒険野郎みたいなのも。
 小人一家の暮らしがファンタジー的でなく現代的文化的なのも。
 特にジブリの独創というレベルではありません。
 半世紀前に世に出たアニメ作品『トムとジェリー』や『001/7 親指トム』で、すでにやっている演出ですからね。

 原作での小人一家の暮らしぶりがどうなのかは、気になりますね。
 そのうち読んでみるか。