上弦 (旧暦 霜月八日、鞴祭)

ルパン三世 血の刻印〜永遠のmermaid〜』


 キャスティング変更は大成功だったと思います。
 去年まで老化の一途だった銭形と不二子が見事に活性化しましたからね♪(五右衛門役の井上真樹夫さん降板には、今でも必要性を感じていません)
 それにしても、声優交替の三キャラとも違和感がないのには脱帽しました。さすがです。
 声質も含めてキャスティングしたのか。声優さんたちが前任者の芝居を意識したのか。ともかく違和感はなかったです。
 思えば黒歴史と言える『風魔一族の陰謀』では、五人の声優さんたちがご自身の普段の芝居そのままでやっておられたため、違和感バリバリすぎたんですよね。ルパンと銭形が、ではなく諸星あたる星一徹が、としか聞こえなかった(爆)。

 ストーリのほうは、昨今の『ルパン』の王道でしょう。
 古のお宝がアンビリバボーな代物だったとか、その隠し場所が『インディ・ジョーンズ』ばりのカラクリ罠だらけだとか、不二子が多重裏切りしていたとか、強敵に敗れた五右衛門が一時離脱するとか、お宝の真の力に敵ボスが呑み込まれるとか、とか、とか、とか。
 特に目新しいことはなかったですが、その分、安定しています。
 これはこれで、いいんじゃないかと。

 まあ……。
 不老不死の妙薬である人魚の血肉が人をバケモノにもするというのは、高橋留美子さんの『人魚』シリーズそのものですし。
 おそらくは、そんな高橋さんが参考になさったであろう平井和正さんの『ウルフガイ』シリーズにおける狼人間の血液に行き着くわけですがね。

 それにしても。
 ルパンが麻紀にした「お姉さんを盗む」約束、そしてその約束への「ルパンは盗むと言ったものは必ず盗む」という銭形フォローは、『カリオストロの城』を意識してたんですかねー(笑)。
「どうか、この泥棒めに盗まれてやってください」や「奴は、とんでもないものを盗んでいきました」のアレですよ♪

 一つだけ不満を述べます。
 美沙に命を救われた次元が、美沙への恩返しを宣言したものの。
 ルパン・チームとしては成功したものの、次元本人が直接アクションできなかった点が残念でなりません。
 もろちん、次元はルパンのバックアップをしていたわけですから充分すぎるほど役に立ってはいるのですが、それでも何かこう……収まりがつきませんね。
 次元には直接、美沙への恩返しをさせてやってほしかった。