『現代コミクス版 ウルトラマン』上・下
金城哲夫、佐々木守ほか・井上英沖/復刊ドットコム
『ウルトラマン』のコミカライズとしては。
まず誰を置いても、ウルトラシリーズのコミカライズ第一人者である一峰大二さん版。
ウルトラマンを最恐ホラーにしてしまった楳図かずおさん版。
そして、複数の漫画家さんが入れ替わり参加した現代コミクス版。
この三つが挙げられます。
中では現代コミクス版が、原作と言うべき特撮版の内容に最も忠実かと。
この本の収録分における漫画担当の井上英沖さんは、手塚先生のお弟子さんのお一方で。
オリジナルよりは、アニメや特撮のコミカライズ専門に近い漫画家としてのご活動だったと思います。この範囲では、けっこうな数を手がけておられたかと。
絵としては当時のレベルをきちんとクリアしている(いやいや、手塚作品、石森作品、水木作品などと比べたらあかんて)。
そのうえで、言ってしまいますと。
当時は、こんな出来で満足してたんだなぁ……としか(苦笑)。
円盤どころかホームVTRも無い時代のこと、漫画という形であれ、好きなときに物語に触れられるのは、それだけで価値があったのでしょう。
内容としては。
これ、決定稿の脚本か台本を提供されてるな、というのがよく判ります。
漫画という体裁ゆえ省略シーンや改変部分も多々ありますが、一部の台詞が一言一句、特撮版と一致していたりするので。
もっと酷い、やっつけ仕事のコミカライズもいっぱいあることを思えば、この作品はかなり良質と言っていいと思います。
でも、まさかこれを読めるとは思いもしませんでした。
復刊ドットコムさん、良い仕事してますね♪