(旧暦 長月十八日)

「梃子入れ」だろうと「契約」だろうと。
 ヒロインに途中退場が多いのは、当時の現場が女性出演者あるいは女性キャラを“付け足し”程度にしか見ていなかったことの証なんじゃないのか、とは思います。
 何せ、すべてにおいて男社会でしたからね昭和って。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ffc19eeff13a9a52b54e0386dd539a01e1ef87c5

 男性レギュラーにも途中退場がなかったわけじゃない。でも少ない。
 坂田さんは、アキの退場に巻き込まれた形ではありますが。
 MATの加藤隊長は前半で転属、伊吹隊長と交替しました。
 その後と言うと……ZATの朝日奈隊長は中の人の多忙さで最初っから毎回は出られないという前提のキャスティングだったと聞きますし、荒垣副隊長が最終話直前で転属したのは中の人の油断からきた大ポカだった。
 MAC隊員は、すべて使い捨て要員だから論外。隊長の退場は、まさしく梃子入れでしたが、あれは遅きに失した形でしたね。

 いや、言うてもさ。
 昭和ウルトラは昭和ライダーに比べたらマシでしたよ。
 所謂ライダーガールの入れ替わりったら、追いかけるのがめんどくさくなるレベルですからね。
『V3』『X』『アマゾン』『ストロンガー』そして『スーパー1』は安定してましたが。
仮面ライダー』と『仮面ライダー(スカイライダー)』は、ライダーガールがどんどん入れ替わっていきました。それも、理由も何もなしに消えていることが多い。
 最初のルリ子さんこそ「本郷を追って」という理由付けがありましたが、本郷が復帰してもルリ子さんは帰国しなかった。外国で何があった? まさか……。それ以降の立花レーシングクラブ会員は、めいめいが存在感を発揮したわりに本当に入れ替わりの応酬で。
 最ももったいなかったと今でも思うのが、『スカイ』の叶みどりです。第一話で、志度博士の助手として、しかもスパイっぽい感じで筑波洋に接近してたのに、第二話以降はフツーの女の子になっちまってた。ここは、志度博士の助手つまりはネオショッカー脱走者という立場を、脚本や演出が最大限に利用すべきだったと思います。それを活かさんでどうする? 最後は他のメンツと一緒に怪人にやられて重症からの長期入院という体で降板。ああ、もったいない。

 やっぱり現場は女性出演者をオマケ程度にしか見ていなかったんだな。



 余談ですが。
 ウルトラマンAは、もともとは M78星雲宇宙警備隊の人ではなく銀河連邦に所属する、まったく別のウルトラマンとして企画されました。その証拠に、最初の設定である「ウルトラファイター」は全高が九十メートルありましたからね。
 敵を一つに固定したのも、従来のウルトラとは違うという意思表示でしょうし(あるいは『ライダー』を意識した?)。
 男女二人による変身も、それまでのウルトラとは違うことをやろうという制作の意気込みだったのだと思います。
 工夫が足りなかったせいなのか、敵の固定化と言いウルトラタッチと言い、けっきょくは引っ込めることになるわけですが。もっとも、ヤプールは滅んだわりに、ゾンビのごとく何度も復活してたけど(笑)。