(旧暦 長月七日)

 みんな大好き無印。
 といったところですか。
 コメント群に愛が溢れてますな♪

https://news.yahoo.co.jp/articles/08bc2b191a42e55010f0dfc625b7dc21f28c898d

 鉄板なミハルの件はもちろんのこと。
 他の諸々のシーンも、よくあそこをそうやった、と唸らされるばかりで。

 しかもです。
 視聴者にとってのそれぞれショックなシーンは、それ単品でないということも重要だと思います。

 例えばコメントにもあった「なぜ出てくる!」と叫ぶアムロにやられて「火…火が……母さん!」のパイロット。
 これ、直前のキシリアとトワニングの会話とで合わせて考えるべきところなのですよね。

ゲルググ、ドムの動きが目立たぬのはどういうわけだ?」
  ↓
「学生か」
  ↓
「戦果だけが問題なのでな。もろ過ぎるようだ」

 のアレです。
 トワニングは「彼らの救国の志は」とか綺麗事ほざいてましたが、キシリアにとって学徒動員の生活も信条も命すら、どうでもいい。彼らは将棋の駒に過ぎない。
 で、「火…火が……母さん!」に続くから、戦争の悲惨さの正体が判ろうというもの。

 これを考えるとね。
 ミハルの悲劇も、その原因が「素人ゆえの悲しい」などでは断じてなく、元凶は赤色が大好きな若きエリート士官だと判ります。
 そもそもミハルは軍属ではなく民間人スパイです。ベルファストで下船して気の緩んでる連邦兵士から話を聞き出すだけが仕事だった。
 それが赤い士官のせいで連邦艦に潜入させられて、しかも(ブーンの求めがあったとは言え)赤い野郎は送り込んだ 107号もろとも木馬を叩かせた。赤にとっては情報がすべてで、その後のスパイの生死などどうでもいい。ついでに言えば、107号を潜入させるためにMSパイロットを二名も失って「そんなとこだな」と言ってしまうんですから赤は。
 ブーンも同様で。少し通信で会話しただけの 107号など、どうなってもかまわん。ただ任務を成功させて本国に帰りたいだけ。だから 107号が乗っている木馬にも容赦なかった。
 命令内容と連邦軍服を渡したコノリーだけがミハルに少し同情的でしたが、奴は所詮、下っ端(苦笑)。
 ミハルがミサイル発射の衝撃について無知だった、なんてのは些末な事情なのですよ。

 セント・アンジェも同じくで。
 おぼっちゃまでエリートのガルマと、おそらく徴兵されたバロムとの温度差というか落差。
 ここでも赤いのは、人の命などカケラも気にしていないし。

「だったら、こんな所で食べさせるな!」もね。
 老人が、他人とは言え幼い子供の分を盗み喰いするという末世の様相。
 だけでなく。
 厨房でガメたトマトをキッカがアムロにくれる、というほっこりシーンの後だからな、盗み喰いシーンが。
 逆だとフォローになるところを、この順序だからアムロが追い詰められるわけで。

 だから何度も何度も観たくなる。
 富野ガンダムの底の深さったらもう。