処暑 (旧暦 文月廿六日、廿六夜待ち)

 
 『ダンジョン飯 12』
  九井諒子/ハルタコミックス


 え? カバー絵に新キャラ? 登場してすぐカバー絵担当?
 と思ったら、闇堕ちマルシルでしたとさ。

 これでカバー絵担当は二周目に入ったことになりますね。
 予想が外れたかー。
 まあ「アニメ化決定」ともありますし、まだ終わらんよということですね。
 とは言え、ライオス一行と関わった人たち(ドニ&フィオニルのペアにも出番があるとは思わんかった)がズラリ出てきて皆、ライオスに賛同してくれる。ほぼほぼクライマックスの様相ではあるんですよね。

「飯」としてはマルシルの郷土料理が二郎系になっちまう(笑)ことだけですが。
 それよりは、エルフがやっぱり傲慢だということを描いた巻と言えるかと。カナリアの強硬すぎる姿勢がマルシルを追い詰めて、その結果、翼獅子の思惑どおりに事が進んだわけですからね。
 あの世界を裏で仕切っているのは、エルフ、ドワーフ、ノームといった長命種のそれぞれトップであり、中ではエルフのあの婆ァが実行部隊担当だからか、とりわけ上から目線で押しつけがましさが目立つ。ということでもあるかな。
 短命種には意見させないばかりか情報開示すらしないのだから、そりゃ嫌われるさね。

 いちおうマルシルの説得には成功したようですが。
 翼獅子が、すんなり帰してくれるとも思えない。
 ついでに「魔王ライオス」の誤解をどう解く?(笑)

 事態が急転悪化しても、島主は安定の通常運行でしたね。

 さてさて。
 マルシルが二度目の担当となったカバー絵が実は、かなり示唆的で。
 魔物の群れと闘う全キャラの混戦乱戦ぶり。それを俯瞰図的に見下ろす巨大マルシル。という構図で、皆がマルシルの手のひらの上。
 と思いきや、マルシルよりデカい手がナイフを静かに下ろしている。この手が翼獅子のそれなのは明らかで、マルシルも含めて翼獅子のための料理である、と言ってますね。
 ところが、このカバー絵にライオスたち四人だけいないんです。この意味が読めない……。
 むー。