一粒万倍日、葵祭 (旧暦 卯月十五日)

 頭の単純なヤツに作戦立案させたらあかん。

 という実例となりました。
 大二の作戦とやらは、桁違いにご長寿の長官にはお見通し。
 で、逆手に取られて利用されましたとさ(長官の“ギフに殺される”演技が濃すぎてギャグにしか見えんかったが♪)。

 そりゃそうだよ。
 長官の演説中継に割って入るなんて、小学生でも考える。
デスノ』の後日譚である“aキラ編”で松田のバカがやったことでもありますし(笑)。
 正しいからとは言え、無闇に叫べば良い方向に進むってワケじゃない。むしろ逆効果。

 大二に限らず五十嵐三兄弟は揃いも揃って熱血系正義莫迦なので、考えかたがシンプル&独善。
 端からは読みやすいですよね。いつブチ切れるかのタイミングが掴みづらいだけで。

 ブチ切れると言えば。
 大二の沸点が低すぎるのが気になります。
 この状況って、前はカゲロウにイジられて追い詰められていたからなのですが。
 今はカゲロウはいない。でも大二は相変わらずキレやすい。

 カリちゃんの言うとおりで(カリちゃんの研究室が撮影スタジオであることをまったく隠そうとしない撮影スタッフって……)。
 人は心の中に善と悪の両方を持っていて、それが適度にバランスを保っているからやっていける。
 どちらかが欠けると極端に走るわけです。
 かつて『STAR TREK』(TOS)で、転送装置の不具合で善と悪に分離してしまったカーク船長が、それを判りやすく見せてくれました。
 大二はカゲロウを失った結果、ハンドルとブレーキの無い、アクセルだけの車になってしまっているのかもしれませんね。「走る、曲がる、止まる」ではなく「走れー走れー走れー」になっちまってる。そのうち自爆する運命です。
 思えば、デモンズドライバーに宿ったベイルの力で闘っていたヒロミっちの場合、自身の悪魔は出てこなかった。ひょっとするとヒロミっちは根っからの善人で、悪魔がいてもメチャ消極的な悪魔で引きこもっているのかもしれません。
 で、カゲロウのいない今の大二はヒロミっちに似てきているんですよね。軽々しく「命をかける」とか言いますし。
 女医さんの言った「正義」もだけど、「命がけ」も無闇に言う言葉じゃない。
 そんな大二を長官は取り込んで利用しようとしているっぽい。ここは強かなカゲロウの復活が望まれますね。彼なら長官の奸計にも対抗できそうだから。

 中継されてる中、ライダーたちはギフの絶大な力の前に総崩れ。
 フェニックスの空中基地はギフによって撃墜される。いや、職員はもちろんのことだが、収監されてる人たち、どうなんねん? あと、カリちゃん所有のライダーフィギュアのコレクション群…………。
 これで長官の思惑どおりに、世界が恐怖に包まれた(?)。
 事態の緊迫化を受けて、カリちゃんパパは地下組織ウイークエンドを表立って活動させるご様子。前回、カリちゃんが「ドライバーの量産も可能」って言ってましたし、『555』のライオトルーパーみたく量産型ライダーが出てくるかもしれんな。
 カリちゃんパパの「正論には違いない」が「抵抗する」ってのは、どこか『009天使編』の009の台詞に被ります。悲壮だな。

 いや、世界が大変なのは、頭では理解できますが。
 残念ながら世界の危機が絵的に伝わってこない。
 これは平成令和に限らず、“仮面ライダー”シリーズの欠点だと思っているのですが。
 それでも、昭和ライダーでは敵組織が「ゲリラ戦で世界制覇」をという世俗まみれな基本方針があったので、絵的な弱点を補えました。あいつら、全面戦争は好まなかったんだよなー(笑)。
 そんな中、『BLACK』の終盤は、かなり頑張ったと思います。日本社会が荒れ果てて、人々は海外疎開しましたからね。

 で、平成令和の多くは世界規模あるいは人類種の危機に持っていく傾向が強い。にも関わらず絵が安っぽい。
 だから困るんです。
 例えば『ビルド』や『ジオウ』では手遅れな世界を捨てて平和な新世界を構築するという超絶展開で幕を下ろしました。
『聖刃』では、崩壊した世界を小説家の創作力で再構築するというメルヘンで〆ました。
『鎧武』では、ヘルヘイムの森の脅威が止められないとなって、核保有国すべてが沢芽市に核ミサイルを撃ち込む描写がありました。
 でも、言葉では伝わってもね、安物の絵では伝わりにくい。小説や漫画やアニメでやればそれなりの効果があっただろうけど、実写作品でそれやるには特撮(CG)に大金投入せんと……なあ。
 要は、壮大な脚本に現場の絵作りがついていけてないってこと。
 だからなんですよ。ショッカーは「幼稚園の送迎バスをジャック」や「ボーリング球の指穴に危険なバイキンを挿入」などに留めてるから、絵作りが追いつけるんですよ(爆)。
 良心と悪魔のバランス同様、設定と現場のバランスも大切だと思いますよ。
 せめて、国際色豊かな驚愕の様子あれこれでもあればマシかもしれないけど……平成令和ライダーの“世界の最期”で恐れおののく、あるいは逃げ惑う住民って、たいがい渋谷あたりの人々だもんな~。

 次回予告にパパさん登場なので、パパさんも動くのかしらん?
 今回もやっぱり感じたんですがね。
 ベイルの言動って捨てられた感が強いんですよ。ツダケンのドスの効いた声だから禍々しくなってますが。
 あれって要約すると、
「あたしを捨てて家庭を持って幸せになってるなんて許せない。あんたの家族メチャクチャにしてやるから見てなさい。ムキーッ!」
 ってことですよね。
 となれば“円満離婚”のための話し合いは必須です。でないと解決しない。パパさん、腹括ってな。
 一輝はバイスとちゃんと腹割って話し合って、信頼感を強めましたし。息子に倣えよパパさん。
 つか、パパさんとベイルの事情を配信限定でやるってのが気に喰わないですよ。物語にとって大事なことじゃないですか。なのにTV本編では描かないって……。ヒロミっちの帰郷もなんですが、とにかく平成令和はマルチメディアで売ろうって魂胆がムカつきます。最後は円盤の販促にするつもりなの見え見えですし(怒)。

 長官の演説によるとギフは地球外生命体だそうな。アルカンフェルというよりは降臨者なのかな。
 とは言え、それだけではまだ何とも。
 ギフの封印を解くために長官がフェニックスとデッドマンズを作ったってことは、封印する方法があるってことですよね。
 そのあたりで何とかならないですかね。

 牛島光が、ここにきて変身。クワガタ型のデモンズになった。これは格好良い。
 次回、玉置も変身しそうで(でも、失敗しそうでもある♪)。
 そのうち、花も変身するんじゃないかな。少なくとも視聴者は期待しているはず。

 いや、負傷したさくらを元アギレラ様の花が甲斐甲斐しく手当するなんてシーンが観られる日が来ようとは。
 ここだけは眼福であります。