(旧暦 睦月十三日)

 本宅にも書きましたけど。

 鬼太郎の高校生時代を描いた『続ゲゲゲの鬼太郎』(角川文庫では『青春時代』)にて。
 鬼太郎たちは二階建てのボロ家に住み、一階のみを使用、二階を人に貸して生活費の足しにしてました。
 ところが、この入れ替わり立ち替わりの間借り人たちが、どいつもこいつもヘンテコすぎて、それがストーリとなるわけです。
 鬼太郎だけでなく、目玉親父や、ねずみ男の感覚でも変人にしか見えないのですから、なかなかのものです。

 で。
 水木サンの自伝を読むと、↑が水木サンご自身の体験からきていると判ります。
 終戦で復員した水木サンは戦後の混乱期、あれこれとお金を稼ぐ算段をしては失敗し続けた挙げ句、なけなしの全財産で一軒家を買って空いてる部屋を人に貸していました。
 ところが入ってくる住人が、どれもこれもクセの強い人だらけで。
 さらには、漫画家として忙しくなって雇ったアシスタントの中にも奇人変人がゴロゴロといて。
 けっきょく水木サンは、この怪人どもに振り回されるわけです。
 何せ、少年時代から青年時代、さらには兵役時代も含めて相当の変わり者だった水木サンをして「本当は妖怪じゃないのか?」と思わせたほどですからねぇ。連中の人間離れぶりが凄まじかったのは想像に難くありません。
 そう考えると、あの家こそが元祖「妖怪アパート」だったに違いありません。
 こうして偉大なる「神秘家」が形成されていったのでしょうね。

 いやホント。
 水木翁に対してメチャクチャ失礼言うんですが。
『鬼太郎』などももちろん面白いんですが、水木サンの自伝のほうがそれより何倍も何倍も面白いんですよ。(;^_^A