空手が多少できるからと、安っぽい正義感から差別思想の軍人に無闇に突っ込んで、そのまま流されて反政府組織に入り人をたくさん殺したMSパイロットがいたよなあ。
阿呆の一輝はともかく。
大二もママも別に、さくらが無能だと言っているわけじゃない。
人助けするには力が必要。
これは紛れもなく事実。だからこそ、例えばヒビキさんたちは日々鍛えてる(いや洒落じゃないから)。
一方で。
「力が正義ではない。正義が力だ!」
という名文句もある。
さくらは、まだJKだから考えが極端に走るんだろうか。「力こそが正義」って。
一方で、重病の子を持つ母親は、そもそも判断力を失っているうえに怪しい教祖に騙されてるし。
結論。
莫大な手術料のためなら、すなわち人命のためなら、ルールを逸脱した実力行使(銀行強盗)も許される?
まさかね。
この論法はテロリストがよく使うヤツ。
現政権こそが悪だから法律無視していい武力で叩き潰してもいい。
ってね。
ソクラテスは言った。
「悪法もまた法なり」
と。
法律がまちがっているなら正しい手続きで法律を変える。
それしかない。それこそが法治であり秩序である。
それをせずに力尽くで事を進めれば、それはまるで選挙結果を無視したどこぞの軍事政権レベル。
さくらは、そうなりたいのか。
そうは、ならないのか。
現実的な話をしますと。
日本には高額療養費制度というものがあって、医療にかかる費用の自己負担上限額が年齢や年収に応じて決められています。その額を越えた分は申請手続きを経て支給される。あるいは貸付制度もある。
なので、劇中の母親が一定の額のために金策に走ることはあっても、銀行を襲うまでのことはない。保険の効かない治療法を選ぶとか、某無免許天才外科医に依頼するとかでない限りは。ああ、入院のベッド代や下着代、食事代などなどは別ね。
あるいは、その病気が難病指定されているなら、難病医療費助成制度がありますし。
どちらにしても、真っ当な大病院なら、ソーシャルワーカーなどの人が、きちんと説明してくれます。
そもそも病院からの請求は基本的に月締め、つまり後払いなので、焦ることないんだよな本当は。明らかな無宿人とかでなければ病院は入院・手術を拒否しないでしょう。て言うか、無宿人であっても救急搬送されてきたら救命措置しないわけにもいかないし(その手前の、消防からの問い合わせに対する受け入れ拒否は、やってるけどな~)。
これが例えば U.S.A. だったら、劇中のような展開は充分ありえます。風邪で診てもらうだけでも、えらくお金のかかる国ですからね、あそこは。迂闊に救急車なんて使えないし。民間の健康保険はあるけど、掛け金がこれまた高い。だから、みなさん辛くてもドラッグ・ストアで済ますんだよな。
脚本家さん、詰めが甘かったですね。
まあ、『リバイス』は日本ではなく日本によく似た別の「日本」でのお話ということで(笑)。
それでもね。子供たちに誤った情報を刷り込まないほうがいいと思います。