(旧暦 葉月廿四日)

『うどん団兵衛』という短編シリーズがありました。
 腕の立つ素浪人・団兵衛が活躍する、シンプルな勧善懲悪時代劇です。
 団兵衛は文無しで無類のうどん好きで図々しくお調子者。でも情に厚い。
 池波正太郎さんの作品を劇画化したものと違い、完全オリジナルであり、しかも軽いノリ。そこが魅力です。
 細かなところまできちんと時代考証された作品でもあった。とも思います。
 時代モノの劇画・漫画となると大半は東映時代劇の背景を借用しただけの考証ゼロな作品てんこ盛りの中、抜きん出ていたのが小池一夫さんの『子連れ狼』の他には、この『うどん団兵衛』だと個人的には思っています。
 思えば、この頃はとっくに完全分業システムを取り入れておられたわけで、資料集めチームだけでなく時代考証チームもあったのでしょうね。

 妖之佑は『ゴルゴ13』は、ほとんど読んでないのですよ実は。
 むしろ『サバイバル』に入れ込んでましたね。
 今では誤情報扱いされる箇所もあるかもですが、とにかく山盛りのサバイバル知識が凄かった。宿営地のそばに無造作に生ゴミを捨ててはならぬと、この作品で知りましたよオイラ。

 社屋がTVで紹介されていた(『探検バクモン』だったかな?)のを観ましたが。銃器の資料担当氏の仕事が凄まじくてねー。
 発売されているモデルガンやガスガンを収集するのはもちろんのこと、商品模型化されていない銃器は写真を元にフルスクラッチしてでも立体を作る。でないと作画の資料にならない。
「この話で使うから」ではなく「いつか使うことがあるかもしれないから」というのがスタンスだったと記憶しています。確か背景用のロケハンも、報道記事などのスクラップも、その姿勢だったかと。要は資料のデータベース化を目指していた。
 例えば「ニューヨークを舞台にするからニューヨークの写真を集めよう」じゃないんです。「ニューヨークの景色を出して」即「はい、これです」ってレベル。
 ここが素晴らしい。
 はっきり申し上げて、資料や考証を重要視する点において、あの手塚、石ノ森ご両名をも遙かに上回っておられたと思います。
『ゴルゴ』大好きな秋本治さんは、このあたりを分業システムともども、かなり意識して見習っておられる節がありますよね。だからこそ『こち亀』は描き込みが細かい。受賞デビュー作品でもあったコミック本第1話なんて、両さんの制服が変態レベルの細かさだった♪ きっと実際の派出所に取材に行ってドン引きされたんだろうなぁ(笑)。

 あと忘れてならぬのが『バロム・1』。
 特撮の『超人バロム・1』を先に観ていると、トラウマになりかねん(笑)。
 なにせ、二人の少年が合体変身したヒーローがモロおっさんだから(爆)。

 TVで拝見したとき、デューク・東郷の顔にペン入れする際にマジックで大胆に眉毛をベタ塗りしておられたのが印象的でした。

 合掌。