三隣亡 (旧暦 文月十二日、草市)

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 『悪魔くん
  水木しげる/角川文庫
 『悪魔くん 千年王国
 『悪魔くん
  水木しげる/ちくま文庫


 一緒くたにするのダメだったかな?

 角川文庫のは貸本漫画時代のもの。
 ちくま文庫の『千年王国』は少年ジャンプに連載された、貸本版のリメイク。
 そして、ちくま文庫の『悪魔くん』は少年マガジンに連載された、我々のよく知るところの、面倒がるメフィストをソロモンの笛で使役して悪と闘う正義の子。モノクロのTVドラマは、こっちを原作としています。
 貸本版と千年王国悪魔くんは松下一郎。大会社社長の御曹司で使用人を従えており不登校で超生意気で目つきも悪い。
 正義の味方・悪魔くんは山田真吾。庶民の子で真面目に小学校に通うし友だちもいる。
 つまり、まったくの別人ですね。

 貸本版と千年王国は、悪魔くんこと松下一郎が十二使徒とともに真に平等な世界平和を目指して革命へと突き進む物語。
 悪魔くんサイドでは悪魔くんは救世主ですが、既成の国家などからすると世の中を破壊するテロリストに過ぎません。それくらい、悪魔くんのやりかたは強引だし、第三者を本人の意思に関係なく生け贄にしようとするあたり、かなり身勝手で独善的で押しつけがましい。つか、世界平和のために全面戦争するってのが本末転倒でしょ。魔物を部下にしてんだから、もっと上手くやれよな。大天才なんだから無血クーデターもできるやろ。
 貸本版よりも千年王国のほうが加筆されており、構成や台詞回しが丁寧な印象です。十二使徒がほとんど揃わなかった貸本版に対して、千年王国ではいちおう十二使徒が揃いましたし。

 ちくま文庫の『悪魔くん』は少年マガジンに連載されたもので、悪魔くんこと山田真吾は↑でも触れたとおりシンプルに正義の味方です。害意などは一切ありません。
 これは、貸本版と少年誌版とでの鬼太郎の違いと、関係性がよく似ています。

 他に、平成元年に放送されたアニメ(メフィスト二世や、こうもり猫が出たヤツ)の原作となる ver. があるそうですが、単行本を見たことがないんだよなぁ。出てるのかどうかすら知らないし。
 まあ、真面目に探してないけどサー(苦笑)。
 漫画大全集には、あるんだろうけどサー(乾笑)。



 実は、三冊のうち二冊が
「錆び弾よこしやがって……」
 てな状態でした。もちろん古本を買ったわけではありません。
 だから、なるたけ通販書店に頼りたくないのですが。
 実店舗だと在庫がホント無いからねぇ。orz