月遅れ迎え火、天一天上 (旧暦 文月六日、眠り流し)

 あくまでも個人的な意見ですが。
 お盆に飾る精霊棚は、御先祖様に向けたものというよりは分け隔てなく、すべての霊に向けたお供えだと思います。

 お盆に御先祖様が、あの世から帰ってくる。
 それをお迎えするのが精霊棚(盆棚)ですが、御先祖様は家に入るのですから、庭先・軒先に据えた棚でおもてなしするというのも変な話です。上がっていただき佛間でくつろいでもらえばいいのです。佛壇にも供物があるのですから。
 今、ネットで調べると、佛壇の真っ正面に精霊棚を飾り位牌もそこに移動する、という説明が主流ですが、これこそお盆の行事を稼ぎに利用すべく取り込んだ寺院の影響に他なりません。
 矛盾なんですよね、佛壇があるのに別に棚を設ける、あまっさえ位牌を棚に移して佛壇を空にするというのが。強引に取り込んだが故の歪みだと考えれば判りやすい。

 やはり精霊棚は分け隔てなくすべての亡者にふるまうための棚、いわば「ご自由にお召し上がりください」と考えるほうが自然です。
 だからこそ、通りすがりさんを対象に屋内でなく外に据えるべきものだし、そこで無縁佛をもてなし、御先祖様には上がっていただき中でもてなす。これでちゃんと丸く収まるわけです。
 精霊棚を屋内に設置すると御先祖様と一緒に無縁佛も上がり込んで居座ってしまいかねません。大人数をもてなしてもびくともしない大金持ちならいいですが、庶民はそうはいきません(苦笑)。
 だからと言って、棚にわざわざ結界を張る形では、御先祖様をも悪霊扱いするようで、本末転倒です。
 ハロウィンの夜に外を徘徊するモンスターたちには玄関先でお菓子を渡すだけでしょ。わざわざ座敷に迎え入れないでしょ。あれと同じことです。

 地方によっては、二階建てや二間の構造をした精霊棚があって、御先祖様用と無縁佛用と2セットの供物を置くそうです。
 これも一つの、そして確実な方法ですね。

 で、まあ我が家では、外に無縁佛に向けた精霊棚を、屋内は佛壇にお盆っぽいお供えを、という形で区分けしてます。
 暴風雨のせいで、軒下に据えた精霊棚はメチャクチャですけどね(涙)。提灯も吊せないし、新盆だと言うのにホントにもぅ…………。