大伴昌司さんと言えば、昭和の特撮作品を語るうえで欠かせないお名前ではあります。
ありますが。
https://news.yahoo.co.jp/articles/dfa2746f34ab46067dfcea3fc12bf6cfe1301e6c
ぶっちゃけ悪い意味で欠かせない。
という要素のほうが大きいと、今は思っています。
記事中で触れられているゼットンの1兆度なんて可愛いもので。
理論どうこうどころかSF考証のカケラすらないトンデモ設定のてんこ盛り。
しかもそれらすべてが公式でなく、氏の独自解釈だった。
しかもしかも、それがあたかも公式であるかのごとく出版されていた。
これが昭和ですよダンナ。
縁日どころか文具屋で堂々と、ガンダムっぽいロボと赤い人っぽい仮面が並んだ絵のグッズとかが売られていた時代ですよ。
メンコの絵柄なんてパクリの大集合だったしなー。
ちなみに、この非公式設定があたかも公式であるかのごとくに扱われた結果の典型的悲劇が『ウルトラセブン』第12話封印騒動です。
ネットのある今なら、「ひばく星人」は大伴氏の独自設定に過ぎず円谷プロとは何ら関係がない、という正しい情報が即座に拡散、事態も収束したでしょうに……。
子供に判りやすくするために極端な数字設定や用語にした、という考えかたもできますが、それにしても限度がある。
それに子供って、そこまでバカじゃないですよ。1兆度が1億度でも1千度でも理解しますって。
むしろ氏のトンデモ設定は「いちおくまんねん」的なもので、子供をナメてるとしか。
て言うか、そもそも本編では「1兆度」なんて出てこない。出てこなくてもゼットンの凄さは映像から充分すぎるほど伝わった。
『Q』『マン』『セブン』の第一期ウルトラ・シリーズは大人の鑑賞にも堪えうるストーリなので、数値だけ子供騙しというのは、まさに“アンバランス”なのです。
つまりは氏の独自設定は蛇足ということに尽きます。
『ウルトラマン』最終話にて、ゼットンの攻撃で科特隊本部の外壁に次々と穴が開けられ、建物が炎上する。
それより前の回、南米帰りの男・後藤隊員に化けて潜入した吸血植物ケロニアは科特隊本部の外壁材質が超合金であることに困惑していた。つまり科特隊本部の守りはマジンガーZ並みだった(笑)。
ゼットンの攻撃が凄いと、容易に伝わります。
大伴数値なんて不要なんですよ。子供時代が宇宙大好きな理系脳だったとは言え、妖之佑は「1兆度」という数字に最初っから醒めてましたし。
いやまあ、「太陽の表面温度が六千度なのに何言ってんだこいつ」と思ってた小学生読者ってのも、書き手としては嫌でしょうけどね。(;^_^A
比べるなら。
仮面ライダーのクラッシャーは元々噛みつく設定があった。
などの情報のほうが楽しいと思うんですよね。
海外のSF映画を日本に紹介。国内の特撮作品を世に広めた。
などなど、氏の功績を語る言葉は多いですが。
よーく考えると、別に氏がいなくても誰かがやってたな、と。
むしろ、氏が関わらなければ設定や解説を歪められることもなく、結果としてセブン第12話は無傷だったかも。
と考えると、いないほうがよかったのかなぁ、とすら思えてきてます。今は。
こんなこと言ってる自分ですが、氏のご著書を今でも持ってますよ。
子供時代にワクワクして繰り返し読んだのも事実なんですよね。
でも、それらの解説がすべて嘘んこだったと知ったときの失望感ったら……今さら円谷が公式設定に昇格させてもダメですよダメ。
氏がもう少しだけ謙虚でおられたなら。
と考えなくもないですね。