『幸せカナコの殺し屋生活 5』
若林稔弥/星海社COMICS
もはや内容が笑えるものでなく、単なる殺し屋物語ですね。
動物ネタも全然、頭に入ってきません。と言うか、ストーリの流れを阻害すらしています。
第1巻の頃の魅力は消え去ったと思います、残念ながら。
この路線が当初からの予定だったんだろうか?
一点だけ指摘させていただきます。
「072」にて、7に銃で狙いを付けられたカナコさんが即座にその銃を左手で握って無力化、右手で自分の銃を抜いて逆転したシーン。
ありえません。
おそらく作者さんの誤解・誤認によるものだと思われます。
接近戦において、自分の拳銃を必要以上に敵に近づけないのは基本中の基本です。
マーシャル・アーツを会得している相手に対して不用意に銃を突きつけると、一瞬で無力化されますから。
「068」でアドの蹴りを受けたシーンが、そのリスクをきちんと描いてます。あの場では、カナコさんは即座に逃走できるよう戸口に立ったままでいるか、近づくなら腕は伸ばさず銃を脇腹に構えるべきでした(無意識に銃身が水平になるよう訓練していれば、目で狙わずとも弾は相手の腹に当たる)。
マーシャル・アーツを体得していない場合は、相手の拳銃を掴むという乱暴な方法もあります。
ただし、これはハンマーを起こしていないダブルアクション・リボルバー(次元や冴羽やハリー・キャラハン)での話。
シリンダーを掴んで固定すると、シリンダーとメカ的に繋がっているトリガーを射手は絞れなくなります。よって撃発が起こりません。簡単なことなのですよ。シリンダーを手で覆い掴む握力と、トリガーを絞る人差し指だけの握力との力比べで、はたしてどちらが勝つか、というサービス問題ですね。
撃てなくなって焦る相手を尻目に拳銃を引ったくるか、蹴りでも入れてやればいい。
念のために言っておきますが、シングルアクション・リボルバー(西部劇や加納刑事)や、ダブルアクションでもハンマーを起こした状態では、この方法は使えません。ソッコー死にます。
もう一つ、オート拳銃を相手に使える方法もありますが、こちらはショートリコイル式の拳銃(ルパンや銭形)でないとダメ。
自分に突きつけられた銃口を手のひらで強く押す。
拳銃を持つ相手の手首を握って自分の側に強く引き寄せる。
この二つを同時にします。すると、拳銃は銃身だけが少し後退したショートリコイルの状態となり、トリガーとハンマー(あるいはストライカー)との関係が外れるんですよ。なので撃てなくなる。
撃てなくなって焦る相手を以下同文。
作者さんは↑の二つをごっちゃにしたうえで誤解なさっているとしか思えません。
そのシーンを見ると、カナコさんに掴まれた7の拳銃はショートリコイルしてませんし、そもそもサイレンサー(消音器)を使うなら、シンプル・ブローバック(峰不二子)か単発銃(衛宮切嗣)でないと意味ないですからね。
つまり、どう考えても、カナコさんはこのシーンで撃たれてます。本当なら。
アドがカナコさんの拳銃を蹴り飛ばしたシーンがきちんとしていただけに残念です。
第1巻の空気のままなギャグ漫画なら、こんな指摘する気など起こらなかったと思うんですけどね。