百鬼夜行

「兄は鬼子です」
 セイラさんは、そう叫んでた。

「鬼子」の本来の意味は、親に似ていない赤子、醜い姿の赤子、歯が生えている赤子。
 なのだそうな。
 要するに、意図的であれ偶然であれ、人の腹を借りてバケモノが繁殖したケースを指す呼称と思われます。

 昔々は「できそこない」という言葉のとおり、先天性の異常に対して周囲の目が厳しすぎましたからね(もちろん今でも厳しいのですが)。

 セイラさんの言葉は、たぶん精神的なバケモノという意味で言ったんでしょうね。
 たしかにシャアは狂ってますから。『Z』のときは、おちついていたものの、だからこそ弱かったとも言える。
 狂ってない赤い彗星は地に堕ちている、ということですね。