一粒万倍日 (旧暦 如月廿九日)

 ちょいと前、『WBS』だったと思いますが。
 とある会社社長が社員の給与を某電子マネーで支払うことにした。
 とあって、びっくりしました。
 社長氏は「事務手続きが楽になった」とご満悦ですが。いいのかそれで?
 と思いましたね。

 電子マネーって、実は通貨じゃないですよね。
 通貨発行権は、それぞれの国の政府だけが持つ特権であり、謂わば政権の象徴です。欧州などの金貨に王様や女王様の肖像が刻印されるのも、これが理由ですね。だからこそ偽ガネ作りは、どの国でも重罪になります。
 対して電子マネーなんて代物は、言ってしまえば、商品券や図書券がデジタル・データになってスマホでいじれるようになっただけです。
 そんな通貨じゃない曖昧なもので給料が支払われるって、不安でしかないんですが。

 調べてみたところ。
 電子マネーは、それを運営する企業が供託金として財務局に半分を預ける決まりになっていて、万が一のときにはその供託金で利用者を救済する、つまり半額は保証されるということです。
 ですが逆に言えば、万が一のときは半額しか戻ってこないわけです。そんなんが「マネー」だなんて、これは言葉の誤用……いえ悪用でしょう。
 最低でも、いつでも利用者の好きなときに現金への両替ができなくては「マネー」ではないと思います(いちおう電子マネーの現金化はできるが、ボッタクリ級の手数料が要る)。
 今からでも「電子ポイント」と言い直すべきでは?

電子マネー」の用語は、政府自体がデジタル通貨を発行するまでは、使用しないほうが正しいと思います。つか、使用を禁じるべきだとすら思います。
 そのうえで、「給料を電子ポイントで支払う」と言えば、まやかしにはならないでしょう。それを受ける側も気構えできますから。

 にしてもなー。
 そのうち、「給料は仮想通貨で」なんて会社も出てきたりしてサー。
 で、何も知らない情弱社員が餌食になるんだな。