不成就日 (旧暦 如月廿六日)

 だからオイラは、字幕派なのだよ。
 吹き替え版なんて、地上波に下りてきたのを鼻ほじりながら観るだけ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3c84f7c45fafc1f60c8b6339c602a0a63eb1983a

 このキャスティングは名作に対する冒涜だと思います。
 オファーを断り辛かったお三方に同情します(まさか、ノリノリで受けたなんてこと、ないよね?)。

 そもそも「声優さんは裏方であるべき」というのが妖之佑の持論です。
『コナン』の安室と赤井は、ある種の洒落ということで済ませればいいとも思いますが。
 声優さんが有名になればなるほど、何のキャラをやっても、その人の当たり役キャラが頭に浮かんでしまうというリスクは、常に存在します。
 だから、できることなら声優さんがキャラの影に徹することで、他作品への影響を極力下げるのが、本来は正しい。はず。
 本当に実力のある声優さんは、この点を技で解決するんですけどね。ショッカー首領と銭形警部と沖田艦長の共通点なんて言われなきゃ気づかなかったですよ。波平さんとドレンもだな♪(この点で、たいへん失礼ながら若本皇帝は全然ダメ。穴子さんも、『改』のセルも同じなんだから。あれは『特ホウ王国』が悪い意味での転機だったな、たぶん)

 外画の吹き替えなら、なおのことです。俳優さんの声を担当するわけですから、ご本人を声優さんが越えてはいけない喰ってはいけない(遠慮するのもダメだから難しいわけだが)。
 有名声優さんを吹き替えに起用するデメリットですね。
 理想は、映画の吹き替え専門の(決して顔を出さない地味な)実力派声優陣という存在があるべきだと思います。洋画を観ていて、聞き覚えのあるアニメキャラの声が聞こえたら興醒めします。
 上手い人はアニメと映画で芝居を変えてきますが、中にはアニメ声のまんまもいるからなぁ……。

 ぶっちゃけ、↑のキャスティングは、人目を惹くためのあざとい手段にすぎません。
 ジブリ作品や前評判の高い洋画で、そのときどきの売れてる役者さんやお笑い芸人を“声優”として起用するのと同レベル。
 あるいは、文豪の名作にラノベのごときカバー絵を付けて新装版とか言って売り出すのと同じ発想ですね。
 ホント、名作を馬鹿にしすぎですよ。

 本来の音声とトーンの違った吹き替え音声が傑作になる実例も、あることはあるんですが。
刑事コロンボ』とか、『チャリーとチョコレート工場』(日テレ放送版)とか。
 とは言え、これはオリジナル音声を知ったうえで、変化球あるいは味変として楽しむべきものだと思います。
 でないと俳優さんに失礼ですよ。

 字幕が苦手って人も多いそうですが。
 字幕なんて、すべての字を読む必要ないんだよ。単語だけ拾えば充分(ただし、字幕担当者の腕前にもよる。『STAR WARS』旧三部作の「理力」は字幕読むのにいちいち引っかかってたな)。
 ひょっとすると速読に近い技術なのかな? 速読のやりかたなんて知らんけど。

 そう言えば。
 衛星写真を頼りにする、あの番組。
 ナレーションがジャマイカン少佐とキシリア閣下のところを、少佐が引退、デニム曹長と交替したけど。やっぱり聞いてて違和感を憶えてしまう。
 役者さんやタレントさんらと違って声優さんは語りが明瞭だからか、声質のイメージが強いんでしょうね(まあ、役者さんでも性格俳優とかは声のイメージ強烈ですが。『ガイアの夜明け』なんて、まさに)。こればかりは慣れるしかないな。

 古い話。『カーグラフィックTV』を観ていた母上が、ナレーションを「優しい声だね」と評しました。もちろん母上は、この人が星飛雄馬などとは知りませんし、今も昔も声優という人たちに興味ゼロです。アイデンティティ・田島さんのネタも意味を理解できていないはず。
 でも、『CGTV』のナレは耳に残った。それだけ声優さんは声に特徴があるということでしょうね。