TV愛知で放送中の『ハルヒ』が恐怖と忍耐の「8」に突入しているわけですが。
その前に放送された「孤島症候群」前後編。よくよく考えたらば。
多丸(兄)……こりゃ始末書じゃ済まん人(後には、百年後に銅像になった人でもある)
多丸(弟)……愛馬が凶暴な人
執事の新川……帰ってきた人
ガンダム乗りだらけだったことに気づく。
今さら~。
触れたついでに言うけど(アニメ版に限っての話)。
あの“事件”、古泉たちのお膳立ては、名探偵の推理どおりで済まないと思う。
うん。だからね。
「機関」によるお芝居がバレた。いやー、まさかこんなに早く見抜かれるとは。僕らの負けです(にっこり♪)。
で終わってない。
ハルヒだけでなくキョンも「古泉たちに騙されずに謎を解いた」と思ってるけど。実は、ハルヒの勝利宣言まで含めて「機関」の筋書きだったんじゃないのかな。
だって、宇宙人勢力や未来人勢力とも渡り合う「機関」だぜ? たかが高校生カップルにバレるようなヘマするかな? 多丸(兄)さんだけ食事にナイフとフォークを使うだのニンジン嫌いだの、むしろわざとらしいくらいの素材配置。もはや撒き餌レベル。
目的はハルヒを上機嫌にすること、つまりは“神様”の接待だからね。名探偵が謎を解き大勝利するというあの結末こそ、「機関」が求めた幕引きそのものだったのだよ、きっと。
こここそが一人称形式の面白い部分。
キョンの知らないこと考えないこと想像しないことは描かれないわけで、しかもキョンは神でもエスパーでも天才でもないから、情報収集がキョン頼みの視聴者は行間や裏を読むしか真実に到達する術はない。
だからこそ『ハルヒ』には謎がてんこ盛りなわけで。朝比奈さんの自宅とか朝比奈さんの自室とか朝比奈さんの実年齢とか朝比奈さんの趣味とか朝比奈さんの…………(笑)。
つまりは提示されているパーツ同士を何通りに組み合わせられるかという数だけあれこれ考察を楽しめるのが一人称の良いところの一つ。それを判ってて、作り手側は真相をボカすわけだし。
「機関」と似たような仕掛けを特車二課の後藤隊長が、やってたっけ。まあ、こちらは演出的には一つだけの真実に向かって丁寧な布石をしてたわけだけど(遊馬が名探偵気取りで事件の“真相”を演説する場での、後藤隊長と佐久間教官との間で交わされたアイコンタクトとかね)。
明らかな嘘を吊して、そこに喰いついた第二小隊隊員たちが紆余曲折の末に嘘と気づいて、こちらの用意した“真相”に辿り着き、納得する。までが筋書きだった……香貫花に見破られたけどなー後藤さん。
あれも、隊員たちの視点に徹していたという意味では、一人称の一種と言える。
押井監督は“主観”というもののあやふやさをよく扱うからね。まさに夢是幻の一人称トリック。
キョンの気づいてないこと。
の一つに、あのホクロの毛がありますが。
ここだけ一人称のルール違反をしてますね。まあ原作と違い、アニメは一人称だと宣言しているわけではありませんが。
ちなみに、そのホクロの毛、古泉の凝視がどういう意識でのものなのか、それ以前に演出の意図が何なのか、頭の悪い妖之佑にはサッパリ判りません。