一粒万倍日 (旧暦 葉月五日)

 あれあれまあまあ。
 余裕のある気さくなベテラン剣士だと思いきや。
 ただ年功序列に囚われただけの威張りたい体育会系オッサンでしたか。これは残念。
 しかも、子供を最前線に連れ歩く無神経さと、それを倫太郎に指摘されると逆ギレする理論崩壊脳筋ぶり。
 その子供が怪しい本をつい開いてしまったことから、普段から敵の危険性をきちんと教えていなかったと思われ。それも父親として、どうなんだろ。

 脚本は、ヤツをどう描きたいんだ?
 ぶっちゃけ、未熟な年寄りの成長物語なんて、やってる余裕ないと思う。主人公周囲の掘り下げに集中しないと。
 だからと言って、あの善人ヅラではパワハラ系の悪役にするつもりもなさそうだし。

 安っぽい予想をすれば、次回、飛羽真の頑張りを認めて和解する展開でしょうが。それでも初登場での印象が悪すぎる。何が「子育て王」なんだか。そもそも自分を「王」と名乗るヤツにロクなの…………あ、ソウゴごめん。
 飛羽真と倫太郎が追い詰めて弱った怪人に、横から割り込んでとどめさすところもなー。まるで部下の手柄を横取りする上司だよ。ちっとも格好良くねーよ。おまけに周囲にいる味方に気を遣わずに広域攻撃かける始末(倫太郎はともかく、飛羽真を素人扱いしてたクセにさ)。
 尾上亮はキンタロスの爪の垢でも頂戴すべきだと思う。本当に思う。

 まあ、好意的に考えれば、従来なら主人公に対立するのは2号ライダーの役目のところを、今作品では倫太郎が最初から好意的なので、代わりに嫌みな野郎が必要だった、ってところだとは理解できますけどね。
 それにしても、その役目にベテラン剣士で、しかもベテランの余裕が見られないという……。
 つか、そもそも2号ライダーが主人公と対立するのは、ほぼ若さゆえってトコが根元にあるもんなんですよ。だから和解するにも時間がかかった。
 なのに、今回はベテランが対立というか見下すんだもんなぁ。危なっかしくて見てられない系の苦言や、主人公が思い上がってるところへの叱咤ならともかく、ただ上から目線なだけなら無理に対立させなくても、とすら思うんだな。

 子連れで闘うと言えば名作『子連れ狼』がありますが。
 拝一刀が大五郎を連れて旅をし、場合によっては大五郎の目の前で人を斬るのは諸事情あってのこと。それも、かなり深い事情が。だからこそ、一刀は万事を割り切っている。それを象徴するのが、一刀が好んで使う「冥府魔道」なる言葉。そして、大五郎も幼いなりに自分の命運を理解している(行きずりの素浪人が大五郎を見かけて「死生眼!」と驚愕してた)。
 亮(ぜってー「拝」にかけてるだろ「尾上」ってのは)に、そんな事情があるのかどうか。安っぽい設定やパクったような設定だけは勘弁願いたいですね。

 ホント、キンタロスみたいなヒビキさんみたいな好キャラを期待していただけに、がっかりしました。
 飛羽真を認めるにせよ認めないにせよ、次回以降に相当なフォローを脚本がやらないと、場の引っかき回しするだけのクズキャラで終わっちまいますよ。少なくとも妖之佑にとっては、現時点でのヤツは、大剣を振り回すだけのただのゴミ野郎です。
『ゼロワン』の「お仕事勝負」のときの刃さんが典型的ですが、脇を固めるべきレギュラーの動かしかたをミスると、物語に大マイナスなんですよね。

 一方、絨毯に乗って登場したのは飛羽真の幼馴染みでしたとさ(OPとEDにも加わってるし、まずまちがいなくEDの黄色い剣士だね)。
 しかも、飛羽真の夢に出てた現場にも関わっていたらしい。つか、元々は三人で遊んでいた模様。三人目は、あの少女だよねきっと。
 さらには、裏切り者の剣士が近親者らしく。随分と盛ってくるじゃないの。

『聖刃』は怪人それぞれに個性があっていいですね。
 今回のあいつも飛羽真に「トカゲ」と言われて怒るとか♪ ……で何怪人? ネバネバがあるから……ウナギとか?(いや両生類だって判ってるけど、あえて外したんだよ)