年越し、三隣亡、なまはげ (旧暦 師走六日)

 年末年始の支度のために買い物に、お出かけ。
 そのスーパーにて、店内放送と言うか、お客向けのアナウンスがありました。
 曰く。
「年越し蕎麦には海老天を二本入れる風習がある。一本は旧年への感謝を、もう一本は新年への祈願を、それぞれ込めて食べる」
 とのこと。つまり「だから一人あたり二尾、買ってよね♪」ということらしい。

 売るために、そこまで言うか。
 と、呆れるよりむしろ感心しました。
 だいぶ前には、別のスーパーで「節分蕎麦」を売ってましたが、これが年越し蕎麦そのものだということは、以前の日記に書きました。節分立春は旧暦の年末年始と時期が一致しますからね(と言うか旧暦では、節分は年越しと、立春は年明けと同義。だから元日を「新春」と言うのだよ)。
 そもそも蕎麦すなわち蕎麦切りは比較的新しい食べ物です。庶民に浸透したのは徳川の世のはず。それまでは蕎麦がきにしていた。ついでに言えば、徳川の世では海老天蕎麦は少なくともメジャーには、なかったと思う。お品書きに「天蕎麦」とあるのは、かき揚げを載せていた。
 仮に「海老天二本が決まり」という年越し蕎麦が実在するとしても、「風習」と呼べるほどの歴史までは、ないはず。

 商売熱心はよろしいが。
 出鱈目を言うのだけは控えていただきたいと思った年の瀬でございました。