朔 (旧暦 師走朔日)

 f:id:mitaayanosuke:20191226215538j:plain
 『ラーメン大好き小泉さん 7』
  鳴見なる/バンブーコミックス


 赤点三教科の美沙はヤバすぎるだろ。
 犬並みの嗅覚を誇る悠はキモすぎるだろ(「概ね平均点以上」は、びっくりだ)。
 そして、個人面談の主導権を握る小泉さんは凄すぎる。つか、先生がダメすぎるだろ。

 悠は、そのうちサイコホラーな事件を起こしかねない……。

 気軽に引っ越してしまう潤ママは、さすがアクティヴな編集さん。
 引っ越し魔って、ある一点において絶対的に有利なんですよね。つまり、ご近所問題に対してね。もしも隣近所に迷惑DQNが越してきた場合、下手に交渉とかクレームとか裁判とかせずサッサと引っ越すが勝ちだし楽。これが引っ越し苦手な人とか、まして持ち家だと解決は遠い。だからこそ、オイラは「ポツンと一軒家」に憧れるんだな。
「八王子のラーメン」ではなく「八王子ラーメン」ねぇ。よく判りませんが、富士宮やきそばとか宇都宮餃子とか浜松餃子みたいなもの?(ダムカレーは、さすがに違うよな。あれは作為的すぎる)

 高級な中華飯店より町の気取らない中華屋さんのほうが良いに決まってます。五郎さんが七期の最終話で入ったような店ね♪
 よく「炒飯の旨い店は当たり」というのを聞きますが、物差しが唐揚げでもいいし餃子でも拉麺でもいい。要は自分の好きなメニューが自分の好みに合うかどうかで店選びをすればいいだけのこと。別に海原雄山山岡士郎に倣う必要はない。
 ちなみに、妖之佑の自説は「天津飯の旨い店は◎」なのです。はひ。

 高山ラーメンが東京の中華そばよりスープ濃いめなのは、ひょっとすると土地柄があるのかな。と思ってみたり。
 行ったことのない人だと、高山→飛騨→山地→標高高い→涼しい、という図式を思い浮かべるかもしれません。
 が、毎夏の気象データを見れば判るとおり、高山は暑いです。クソ蒸し暑いです。街とか埃臭いです。なぜなら高山は盆地だから。
 となれば、東京と同じ料理でも必然的に味が濃くなる。これは道理と言っていいでしょう。
 同じく盆地である京都で使われる薄口醤油が、その名とは裏腹に実は関東の黒い醤油より塩分多めなのも、もしかして同じ理由が隠れているのかもしれませんね。京都も祇園の頃は不快さMAXな程に埃臭くて蒸し暑いですから。
 ちなみに、日本で知られる中華料理の中で最も辛い四川料理。この故郷、四川省成都も盆地でメチャクチャ暑いそうです。だから辛い料理が発達したとのこと。
 逆に、北海道が味噌ラーメンなのは、味噌に体を温める効果があるからですし。
 味付けには理由があるのですね。

 同じストーリを視点を変えて描く。モノカキなら誰でも試したくなることです。
「一杯目」で小泉さんが悠にかけた「てっきり常連なのかと」という言葉の真意が、この「五十六杯目」で、ようやく判りました。

 無断借用のロッカーの中が凄すぎる。小泉さん、希代の大泥棒か名探偵の素質もあるんじゃね?
 ラーメン代を始めとしてラーメンのために投資した総金額を想像するだけで怖い。バイトしてる風もなさげだし(つか、そんな時間ないだろ)。謎の転校生だから株や仮想通貨で大儲けしてても不思議じゃないけどね。それにしちゃ、いつも愛用の蝦蟇口は小柄ですが(笑)。
 JKが背中の露出したドレスというのもアレですが、とにかく肝が太いったら。あの格好で、どうやって校門を出たんだ?
 ラーメン懐石の店は素晴らしいですね。店員さんがビギナーである乃愛ちゃんに優しい優しい。もしも笑顔の裏に腹の中で「田舎者はタクアンでも囓ってろ」とか思ってたら、あんな素敵な態度は取れません。たかが数百円程度のラーメン売ってて客を怒鳴りとばす威張った店主とかは懺悔して魔女にでも喰われてしまえ。