三隣亡 (旧暦 長月十四日)

「五十個買うから十パー引いて」とは、よくもまー言えたものです。たかが五十個程度で一割引き? 五個をタダにしろ? 冗談は顔だけにしていただきたい。
 五郎さんは個人事業者ですから、五パーセント引きでも、きついと思う。それが百五十個で九パーは、相当に譲歩してますよ。
 て言うかね。「今後とも長いお付き合いを」の台詞を餌に強引な値引きを計る輩は、本気で「長いお付き合い」なんて絶対しませんよ。「余所でもっと安くしてくれる所があったから」って平気な顔して一方的に縁切りしてきますよ。判断基準が品質でなく価格の数字だけですからね。ほら、品物ロクに見ずに即決してたでしょ? 見栄張りたい男どもなら買うって、はっきり言ってたし。
 なので、この手合いに対して無理な値引きをする必要ナッシング。もっと言うと、良品を提供するのも空しい相手です。品物が泣きます。
 最悪、ドタキャンしてくるんじゃないかな、あの女。
 最初っから値引き重視ではなく、とにかく何か買うときは、あそこでの御指名。というのを何年も何年も続けて。そうしているうちに、お互いに相手の要求がツーカーで判ったり、ときには無理を言ったり無理を引き受けたり、そんな中に「身内相場」と言えるような破格での取り引きも含まれる。それが本当の「長いお付き合い」です。

 いえ、妖之佑は経営も商談も未経験です。想像で言ってるだけです。ええ。

 それはさておき。
「店を探そう」が無いのは珍しいですね。前に「店を探そう……あった」と、ほとんど歩くことなく目の前の店に入ったことはありますが。あれは巨大なアジフライの店だったっけかな?
 ガーリックのタンステーキは想像できる範囲。
 それよりも、あれですね、ミートパトラ。あれが手強そうで。味の想像がつかなくて。でも美味しそうで。ミートパトライス、五郎さんならやると思ったし♪
 フォン・ド・ボーなのかな、寸胴を見ているシェフがプロっぽいと思ってたら、本物のお店の人でしたね。たまに、このパターンがあるから油断できない(笑)。
「ア・レ」がガチで「あれ」だったとは笑ってしまいます。どんだけ面白い店ですか。
 で、「チャーチャー」は何なん?