上弦 (旧暦 葉月八日)

 広大な森林や密林は、そこが領土となっている国だけのものじゃないんですよね。二酸化炭素を固定して酸素を放出する役目を担っていることから、地球全体の財産と言える。
 なので一国の都合だけで、どうこうされては皆が迷惑する。これは、大国の温室効果ガス排出の影響で海水面が上昇し国土面積が減りつつある諸島国の声とも共通します。
 しかしながら、アマゾン熱帯雨林を“所有”するブラジル政府に全世界的視野や責任感などサラサラないことが地球全体の不幸と言えるかと。
 現在進行中の大火災も、元を辿ればブラジル政府の罪ですよ。農業推進のために大規模伐採を長年、進めてますからね(あるいは黙認?)。自分が稼ぐことしか考えない、もしくは喰うことだけで精一杯の農民を説得するなんて時間の無駄。本当なら政府主導で伐採禁止&厳罰化の舵取りをしないと。
 今さら無理な話ですが。でっかい森林などは、できることなら南極大陸や公海みたく「どこの国にも属さない」とするのが健全だと思いますよ。いや本当に無理な話ですけどね。

 ところで、この手の森林火災が報じられるたびに「焼畑が悪い」という声が出てきますが。紙面・誌面によっては記事本文中にも出てきますが。
 まちがいですからね。
 あちこちで環境破壊の問題になっている、森林を焼き払って農地として切り開くのは「野焼き」です。土地の代謝を促す焼畑農業とは、まったく異質なものです。
 焼畑は定期的に畑を焼いて土壌を活性化する。この場合、畑を放置すれば森林が再生される。
 野焼き(山焼き)は森林を焼き払って新たな畑や牧場を開発する。こちらの場合は森林破壊となる。
 この違いを、きっちり理解しておかないといけません。
(※ ただし、焼畑農業のことを「野焼き」と表現する場合もある。『ブラタモリ』で紹介された阿蘇の草原などが、そう。Wikipedia では「永続的な野焼き」という表記で、焼畑農業の野焼きと区別している)