廿六夜待ち、富士吉田火祭 (旧暦 文月廿六日)

 あの事件、十三年前どころか四十八年前の出来事ですよ。不届き者、山田と中村が消えた怪奇現象。
 古い禁忌を破った者の末路。不可思議系のストーリとしては王道ですね。二期での超怖かった記憶がジワジワと蘇りました。
 今期が変えてきたのは、その馬鹿どもをダシに使っての、しきたりの継承物語にした点。

 タイタンボウと呼ばれる存在が、はたして神様なのかどうかは判りませんね。神だとしても、少なくとも通常の神様ではなく祟り神レベルであることだけは確実でしょう。
 タイタンボウ様のおかげで町が平和という解釈もできれば、実はタイタンボウは何もしておらず、人が掟を破ったときだけ動く、という考えかたもできる。つまり、あの土地全体がタイタンボウなる何者かによって縛られている、とも。
 真実がどうあれ、あの番人の一族は気の毒っちゃ気の毒ですね。人生の選択肢がありませんから。健人は少しグレてはいますが、その気持ちはよく判る。
 うーん。パートタイム的にやるとしても、四日おきだと週二回は登山しなくてはならないから本業の業種も限られるし、何より、あの門を守るには、ほぼ常駐する必要がありそうで……ああ、先祖代々の田畑でもあるのかな? そう言えば、健人の仲間みんな、農家の子で田植えと稲刈り以外は遊んでばかりいるって感じに見えるよな。農家って農機具等々に必要なこともあって、けっこうお金持ってるし、あのバイクも農業を継いでほしい親が買い与えたのかも。
 町の連中も文句言うばかりじゃなく、町全体でお守りするくらいの気持ちは出ないんですかね。崇拝する分には、タイタンボウ様もお怒りにならないんじゃないのかな。特に門番役なら、町人の誰でもよくね? 門の前にプレハブでも建てて持ち回りで常駐すれば、よかろ。それだけでも番人一家の負担が、かなり減りますからね。

 しかし、二十歳で継承ってのが、ちょいと違和感です。
 古来の定めなら元服、すなわち十五歳それも数え歳で受け継ぐのが自然です。つまり中学生あたりで。
 何せ相手は神様ですからね。6・3・3制とか関係ないでしょう。
 あの祟りっぷりからして、話の判る神様でもなさそうですし。

 現実の祟りの有無について、あれこれ言うことは、やめておきますが。
 ネットの普及と相まっての、昨今の騒々しいパワースポット・ブーム。
 これを各地の神様がたは快く思ってはおられないんじゃないかな。
 とは思うのでありました。