(旧暦 文月廿二日)

 P38 が来るかなと予想してましたら、こっちが来ましたか。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190821-00010534-besttimes-life

 日本も独逸も魅力ある拳銃を数々作っていたため侵攻した連合軍、特に米軍兵士にとって良いお土産になったのは記事にもあるとおり。
 おかげで、後に民間での拳銃所持が禁止された日本では叩き壊されてしまった国産名銃の数々も、海を渡れば今でも大量に現存するし、日本人が行って触れることもできる。怪我の功名のようなものでしょうか。
 古いお屋敷などを解体すると、今でも南部や有坂が出てくることがあるようですが、ここは杓子定規に廃棄処分せず、積極的に博物館などへの収容ってのは、できないんでしょうかね。鉄屑にするなんて勿体ないですよ。
 かつて専門誌の記事にて「数えるほどすらも現存していない」とされていた日野式が、平成になって大量に発見されたことがありましたよね。このときは米国からの外圧もあってなのか、例外的な措置として、発見されたうちの何丁かが保存されることになったそうです。……ったく、超貴重な資料なんだから全部残すべきだろうに、やっぱり日本の役人は文化を理解していないな。下世話なこと言うと、日野式の完品だと米国での売買価格が想像できんくらい高くなるはず。廃棄するくらいなら、日本政府が間に入って米国に売ればよかったんだよ。それでブツは壊されずにすむんだから。



 話ついでに、「古式銃」について少しだけ。
 銃刀法によって民間人の銃器類所持を厳しくコントロールしている日本ですが、「古式銃」だけは美術品としての所持が認められています。言ってみれば、日本刀のような扱いですね。
 では古式銃とは何か?
 となるその定義ですが。

※ 1867年以前に製造された日本国内製の銃、または、1867年以前に日本に伝来した外国製の銃
※ 撃発方式が管打ち式やピン打ち式や、それ以前の方式の銃
※ 改造していない銃

 ということだそうです。この三つの条件のどれか一つでも該当しないものは「現代銃」とされ、例外なく銃刀法の規制対象となるわけ。
 つまり、どんなに古くてもリム・ファイアやセンター・ファイアであれば「現代銃」ですから規制対象(つか、そもそもセンター・ファイアは 1867年より後の実用化だろうけど、たぶん)。
 1867年より昔の、例えば火打ち石式の骨董銃であっても、今、外国で入手したそれを日本に持ち込むことは規制対象。
 とにかく、1867年の時点で、その現物が日本国内に存在したことが最重要項目のようです。要するに日本国としては国内の民間向け鉄砲(拳銃)の総数を増やしたくないってことでしょうね。だから民生用には製造だけでなく旧式の輸入も禁止する。

 ただ、「伝来」という表現がね、誤解を招きそうで。
 普通に解釈すれば「日本に伝来」とは、そのまま「日本国内に入った」としたいところなんですが。
 例えば「鉄砲伝来」の伝来だと「鉄砲という武器の情報あれこれが日本に伝わった」とも解釈できます。となると「1867年より以前に日本に伝来した銃」を「1867年より以前に日本に、その型式が伝わった銃」とも受け取れ、型式が同じなら 1867年以降に輸入されたものもOK、みたく解釈できそうです。
 いちおう、妖之佑は「型式がどうあれ、1867年より後に日本に持ち込まれた銃は、すべて規制対象」だと思うんですけどね。警察の思考パターンを想像すれば、幅のある表現の場合、より厳しい意味に捉えておいたほうが一般市民の立場として無難だと思うワケ。

 で、そういったあれこれを然るべき処で鑑定してもらい、登録証が発行されると晴れて古式銃となる。
 今は大丈夫なんでしょうが、その昔は人材不足もあって、この鑑定を刀剣の専門家にさせていたそうです。ために無知による誤解が酷く、たいへんに歴史的な価値のある貴重な銃が古式となれず廃棄された悲しい事実もあったそうで。
 刀と銃を一緒くたに考えた役人の頭にはゴミでも詰まっていたんですかね。せめて歴史学者とかに依頼しろよな。

 残念ながら、坂本龍馬が使っていたS&W No.2 の同型が倉にあっても、曾爺様の形見らしい南部式が天井裏で見つかっても、すべて現代銃となり、見つけた人は警察に届け出ないとヤバいのです。
 もちろん届け出た結果、その銃は廃棄処分されますが、届け出た人は一切のお咎めなし(のはず)。

 少しだけと言いながら、えらい長くなりました。m(_ _)m