望、月遅れ盆、中元、十方暮入 (旧暦 文月十五日、盂蘭盆)

 昨年九月の日記で「『大帝国』は読んでるはず」と書きました。

 すんげー勘違いでした。m(_ _)m
 読んでませんでした。
 と言うか自分、連番としては『大脱走』で止まってました(汗)。発表順で言えば『大脱走』の後はシリーズ前日譚となる外伝『独裁者の遺産』の他には、仕切り直しの『FLASH』三作品しか読んでませんでした(汗々)。
 どうやら『大復活』が文庫になるのを待っているうちに忘れてしまったらしい……。
 ホント、作者さんに失礼ぶっこいたダメ読者ですね。orz

 ということで遅まきながら。



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 『ダーティペアの大復活』
 『ダーティペアの大征服』
 『ダーティペアの大帝国』
  高千穂遙/ハヤカワ文庫



 力いまだ衰えず。
 と言うのは失礼になりますでしょうか。それほどに安定したテンポとパワー。て言うか、ベテラン臭さがないんですよ。若々しいんですよ。まあ、イラストのケイは、令和の今となっては少々オバハン臭い髪型ですが(爆)。

 妖之佑の、むわったく個人的意見ですが。
 今のラノベ群を遡ると二人のSF作家に行き着きます。と思います。

 お一人は平井和正さん。
 言うまでもなく『ウルフガイ』や『幻魔大戦』の作者であり、『エイトマン』の原作者としても有名。
 当時の重厚なSF界にあって、氏の文体はSFであっても軽快さを損なわず、テンポが重要視されている(作品にもよりますけどね)。古典的SFの概念に囚われない自由な発想、そして一人称の軽い文体も、ともに後のソノラマ文庫スニーカー文庫などを経て現在のラノベ群に繋がるものだと思っています。

 そして、もうお一かたが高千穂遙さん。
クラッシャージョウ』でデビューされ、『ダーティペア』はアニメでも大人気となりました(TVアニメ放送当時、ケイとユリのことをロリ文化の顕れだと言った、たわけた大ボケ評論家がいたな)。
 このおかた、作家としては行動力ありすぎると、ずっと思ってきました(笑)。
 だって大学在学中にデザイン会社(後の「スタジオぬえ」)を興すんですからね。
 そのうえ、『クラッシャージョウ』での作家デビューが決まると、イラストにあの安彦良和さんをと、ご自身で直談判に赴かれたとのこと。
 いやもうね。ご本人がWWWAのトラコンになっても、いいんじゃね? ってくらい。

 内容について多くを語るのは、やめときましょう。面白いんだから、みんな読めよ。
 なので簡単に。

『大復活』
 前作……というか時系列的な前作に当たる『大脱走』で人工冬眠に入った二人が、ついに目覚めて大暴れ。しかもタダでは目覚めない。一粒で二度美味しい。さすがです。
 後半戦の展開は、もうあれですね。やったもん勝ちですね。あれは大好きですよ♪
 正直申しまして、『大脱走』で二人を凍らせてからは前日譚となる外伝を一つと、そして心機一転の『FLASH』を展開なさったことで、高千穂さんはもう、あの二人を動かすつもりがないんだろうな、あるいは動かし辛くなったのかな、だから冬眠カプセルに封印したのかな、と心配になったものでした。諦めたものでした。
 なので『大復活』は嬉しかったし、早く文庫になれなれとwktkで待っていて…………すっかり忘れてましたともさ(汗々)。

『大征服』
“リアル”なRPGの世界を舞台にした物語。
 発表が 2006年ということで、例の『.hack//』シリーズが鋭意展開中でしたから、何らかの参考には、なさったものと推測します。一方の『SAO』は、どうですかねぇ。Web発表は、していたそうですが商業出版は、もう少し後ですから。んー。チェックくらいは、なさってるかな?
 ともかく、そこはSF小説ですから、単に「ゲーム世界に入り込んだ」とはやりません。サイバーパンクではなくスペオペとしてゲーム世界を構築します。
 シリーズでは珍しく、二人が大災害・大事故を引き起こさなかったエピソード。
 最後の最後、やっぱケイはアホだわー(笑)。

『大帝国』
『大征服』の続編。と言うか後編かな。
 あっちは前編だったから大災害も大事故も起こさなかったのかと、えらく納得♪
 なので、こっちではもちろん大量に人が…………(魔笑)。いやホント、マントル対流をいじるなよ」な。

 さーて。
 早く文庫にならないかなー『大跳躍』。
(そしてまた忘却の彼方へ……とはならん。ように善処します。はひ)