四万六千日 (旧暦 水無月八日)

 f:id:mitaayanosuke:20190711210509j:plain
 『ひとりかごめ』
  雨がっぱ少女群/バンブーコミックス


 短編を面白くきちんと起承転結まとめられる人は実力者だと思います。
 この作者さんのことは知りませんでしたが、この本は面白い。
 読んでみて、まだ若い頃の高橋葉介さんによる短編群を思い出しました。ホラーありスプラッタありギャグありで、本当に葉介さんみたいで。
 要するに「世にも奇妙な」系なのですよ。

 以下、簡単に感想なぞ(ネタバレっぽい所は反転しときます)。



※ 一周目「消費者の呻き」
 いきなり飛ばすなぁ。
 この店、普通に買い物する分には、いいんだろうか? あ、でも「増量版」は嫌だな。
 この因果応報な話、元ネタは妖怪・百々目鬼だと思われます。

※ 二周目「工場勤務」
 高橋葉介さんの短編に『腸詰工場の少女』ってのがありましたね。
 まあ、意識しているはずもないでしょ。ストーリもオチも全然、別物ですし。
 にしても、由香里さんのメンタルが強すぎる!

※ 三周目「ザリガニ」
 この本の中で一番、不気味。

※ 四周目「無数の孤独」
 グループあるある、ですね。
 あのオチは妖之佑も考えたことある。

※ 五周目「百円の眺望」
 痛々しい。
 以外に何を言えと?

※ 六周目「ペット」
 高橋葉介さんの短編に『江帆波博士の診療室』(氏の商業デビュー作品でもある)というのがありまして、このペットと少し似たシステムだったりします。
 作者さん、知ってたのかな?

※ 七周目「ひとりかごめ」
 まさかのギャグ♪ 不気味だけどギャグ♪
 やっぱり、高橋葉介さんに似てるなー。
 元ネタは妖怪・二口女なんじゃないかと想像するものであります。

※ 八周目「地図」
 これは、ちょっとイマイチでした。進撃しない巨人だね。
 どことなく、宮沢賢治っぽくもあるのかな。

※ 九周目「夢うつつ」
 まさに胡蝶の夢

※ 十周目「轍は闇に呑み込まれ」
 この本の中で一番、キモイ。
 あの爺婆ども、タチ悪すぎる。

※ 十一周目「現象」
 一発ネタとしては十二分にアリ。
 背景? 理屈? んなもん要らねーんだよ。

※ 十二周目「遺された調理法」
 これだけが、この本の中では異質でしたね。画風が何か映画的と言いますか。
 真相は、読者それぞれで決めればいいと思うよ。



 各エピソードの間に載っているイラスト群も、なかなかに味わい深くて。
 うん。買って良かったです。