彼岸明け (旧暦 葉月十七日)

 こうなることは予想に難くなかったですね。

 ちょいと前に、貴乃花親方が倒れて。で、回復して職場復帰した。
 そのタイミングで「どこかの一門に属さないと貴乃花部屋は消える」という報道が出てきた。
「すべての年寄は一門のどれかに所属せよ」とのルール自体は七月だかにできていたそうですが、それを盾にしての「一門に所属しろ」という“命令”と「さもなくば」という“脅迫”は、親方の体調不良につけ込んだ汚いやり口にしか見えません。なにせ、現状では、つまり一連の主張を曲げない限りは貴乃花親方を迎え入れようという一門は、ないそうですからね。これは「すべての主張を取り下げろ」という事実上の最後通牒でしょう。

 名横綱だった一代年寄が退職届を出すという前代未聞の出来事と、協会を出るからこその記者会見での「圧力を受けていた」という暴露は、親方の最後の切り札
 とたんに協会は「脅しなどかけていない」だの、前の暴力事件告発でも圧力などかけていないだのと、あたふたと全否定していますが。

 さて、協会と協会信者以外に、いったい誰が信じますかねー。

 元NHKアナウンサーで、定年退職後はフリーで相撲解説者などを長らくなさっている杉山邦博さんの論評は、貴乃花親方を頑なで幼稚だと切り捨てており、協会の保身姿勢には一切触れていません。
 ああ、この人って何十年経っても、相変わらずNHKの人なんだなあ、と残念に思いましたね。
 まあ、杉山さんは、例の“相撲取材証没収事件”で協会に逆らえなくなった裏事情が、あるいはあるのかもしれませんが……それでもねぇ。て言うか、むしろ、それならそれで世論を味方に闘うのが、相撲を愛する人の正しい姿勢だと思うのですが。この人、貴乃花親方関連では、完全に協会寄りだからなぁ。相撲の腐敗に協力してるんだもんなぁ。

 デーモン閣下の意見も伺ってみたいものの。
 閣下も、協会ベッタリのところがありますからね。何より、力士たち親方たちとの個人的付き合いが長いから、あんまり強くは出られないかな。“双羽黒廃業事件”のときには、はっきり「我が輩は北尾の味方である」と『オールナイトニッポン』で公言なさってましたけどね。
 とは言え同じ頃、大相撲の八百長に触れたリスナーの意見には「八百長などない!」と不快感まで表しておられましたが、ずーっとずーっと後になって八百長発覚事件にて力士たちが処分されてしまった。もちろん、近年になって急に「星の貸し借り」がなされるようになったはずもなく。て言うか、故・板井氏が告白した「自分が貸し借りのとりまとめをしていた」というのは、板井さんが現役の頃から誰でも知っていた情報。それでも閣下は全否定していた。
 ともあれ、協会が八百長に関わった力士・親方を処分した、と同時に「調査した以前には八百長など一切ない」と再度主張したあたりから、閣下の協会批判も切っ先が鈍ってきたように感じます。残念ながら。

 残るは、やくみつるさんだけかな。きっちり協会を批判してくれるのって。
 もう一人二人欲しいですね、戦力。やくさんだけじゃなあ……。(;^_^A

 協会は親方の退職届を「不備がある」と受領していないそうで。
 とすると、諭旨解雇とか懲戒解雇とかを考えてるのかな? 協会に対する裏切り行為で。何せ受理だと円満退職になりますからね。協会としては面白くなかろ。
 やるなら、やったらいい。たぶん親方は、それも見越してますよ。その展開で世論がどう感じるか、までをね。

 妖之佑の意見は、とっくに固まってます。
 ドロドロに腐りきった日本相撲協会に伝統ある相撲を継承する資格などない。潰れてしまえ!
 です。
 政府に強く望みたいのは、連中から「公益財団法人」の肩書きを取り上げてほしい、ということ。
 あんな利権に凝り固まった無教養肥満児集団を政府が支えてやる意義なんて、ないっしょ。私的団体として営利興行する分には誰も文句言いませんし言えませんし、好き勝手にすればいい。妖之佑はプロ野球が大嫌いですが、それでも連中の勝手だから否定まではしませんよ、悪口くらいは言わせてもらいますがね(笑)。
 それを税金面で優遇とかするから、揉めるんです。

 力士暴行死事件、八百長事件、賭博事件、そして現役横綱(発生当時)による傷害事件、さらには立行司によるセクハラ事件。
 いったい、どんだけ繰り返せば気が済むんですかね。
 って、ぶっちゃけ永遠に改善なんて無理だと思います。組織の解体以外に解決方法は、ない。

 ↑でも、あえて汚く書きましたが。
 しょせんは、周囲の大人たちのせいで中卒止まりの脳筋肥満児が、そのままおっさんになっちまった。そんな無教養デブだけで構成されている組織に知性を求めることそのものに無理がある。しかも、公益財団法人の肩書きで、メチャクチャ楽をしている。要するに世間知らず。まともな組織を期待するほうが、どうかしてます。
 完全な私的組織となって四苦八苦すれば、それこそ各プロレス団体などが日頃から直面している苦労あれこれを知ることになる。そうなることで大切なものにも気づく。人としても組織としても成長することでしょう。

 思えば、サッサと協会を辞めた小錦さんや曙さんは正しかったのかな、と。
 直せるはずのない手遅れなものを頑張って直そうとしてきた貴乃花親方は、あるいはドン・キホーテだったのかもしれません。