上弦、鞍馬寺竹伐会式 (旧暦 皐月七日)

「天狗小僧寅吉」という名前は、そのテの話題に興味あるかたなら知っていて当然、というほどには有名です。

 自らを「天狗に攫われた攫われ続けている」と言った少年・寅吉。
 その天狗界での見聞とやらが、あまりに面白いので有名に。刻の国学者平田篤胤が、ぞっこん惚れ込み、寅吉を自宅に住まわせ体験談を記録、『仙境異聞』という書物にまとめた。

 という出来事。

 まー、ぶっちゃけ言いますと。
 寅吉は、いわゆるコンタクティーですよ。アダムスキーに代表される「私は宇宙人と連絡を取り合っている。UFOに乗せてもらったし、彼らの星にも行った」と主張する連中。
 で、平田篤胤は、例の有名なインチキ妖精写真を信じて入れ込んでしまったコナン・ドイルあたりですね。

 寅吉が単なる夢想癖あるいは虚言癖だったのか、本当に天狗さんに攫われたのか、はたまた第三種接近遭遇を体験したのか、真相は判りません。
 ただ、洋の東西を問わず似たような出来事があることに、何らかの意味や真理が隠されているのかな、とは思うのです。河童に尻子玉を抜かれた牛馬や人の死体なんて、ほぼキャトル・ミューティレーションだしね。

 ちなみに。
ゲゲゲの鬼太郎』第4話にて、森に迷い込んだ裕太を迎えて、砂かけのお婆が言った
「人間が、ここへ迷い込むなんて何百年ぶりかのう。確か前、来たのは“とらきち”とか言ったなあ」
 なる台詞は、あきらかに寅吉のことでしょう。
 この解釈もアリですね。寅吉は天狗のお山だと思っていたけど、実は様々な妖怪の棲む世界に行っていた、と♪

 そう言えば、魔界に戻り軀の所に身を寄せた飛影は、迷い込んできた人間の記憶の中で宇宙人扱いされてたっけ(笑)。