三隣亡 (旧暦 弥生廿二日)

 たしか四月一日あたりに、ひよこちゃんが謎のつぶやきを発したのが最初でしたよね。
 良い子をやめるという、ヒール・ターン的な発言。

 で、しばらく静かだったと思わせてーの、あのTVCM。
 熱苦しさ極まりない映像と音声で、激辛チキンラーメンが出ることを、ようやく理解できたわけです。

 なので、まあ。
 買ってみましたよ、「チキンラーメン アクマのキムラー」を(ノーマルに比べて、わりとお高いのな)。

 要するに、キムチ味のチキンラーメン
 でも全然、激辛ってほどじゃない。
 これでは、TVCMがハッタリ動画で終わってしまう。て言うか終わってる。

 買ったお客の一人として、はっきり言わせていただきましょう。
 見かけ倒しです、これ。

 そもそも、チキンラーメンの基本コンセプトでもある「すぐ美味しい、すごく美味しい」というキャッチ・コピーを忘れてますよ、この開発スタッフ。
「すごく美味しい」の部分は個々人それぞれによる好みの問題があるので置いときますが。
「すぐ美味しい」には二つの意味があります。一つは、もちろん「お湯を注いで、たった三分」ということ(昔は二分だったけどなー)。もう一つは、開封した麺を丼に入れてお湯を注ぐだけ、という手間いらず。『オバQ』で小池さんがいつもやっている、あの動作だけでラーメンを食べられるというお手軽さ。これを「すぐ」と表現しています。そのはずです。
 なのに、このキムラーときたら。袋から麺を出して丼にまではいいのですが、それだけでは済まない。かやく(乾燥キムチ)を小袋から出して麺と一緒に丼に入れる。で、お湯を注いで三分経ったら、食べる直前にラー油をさらに追加で入れる。
 カップヌードルと、どん兵衛天蕎麦を比べたくらいに、作るのに手間かかりすぎです。これのどこが「すぐ」なんですかね?

 しかもです。
「アクマのキムラー」などというご大層な命名に反して、麺はノーマルそのまま。よく知られたチキンラーメンの味そのもの。
 そこにキムチとラー油が加わっても馴染みません。味がバラバラですよ。ラー油も、たいして辛くない。
 なんで、麺そのものを辛くしなかったのかなぁ?

 あくまでも個人的な結論ですが。
 これは失敗作ですね。

 チキンラーメンの基本に沿うなら、麺そのものを激辛味に仕上げるだけでよかった。かやくやラー油などという余計なものは不要。
 で、ノーマルと同価格にすれば、絶対に大成功だったと思うのです。
 そう、ベビースターラーメンが味のバリエーションを展開してる、あの手法ですよ。「すぐ美味しい」チキンラーメンは徹底的にシンプルに拘るべきでした。
 ぶっちゃけ、ノーマルのチキンラーメンに、スーパーで安売りしてるキムチを載せて、百円店でも売ってるラー油を垂らせば同じことです。しかも出費が少なくて済む(聞くところによると、これが商品化の元ネタらしい)。

 キムラーの辛味が病みつきとか賞賛している層は。
 まずは、スガキヤ台湾ラーメンくらい食べてから発言していただきたいところですね。
 あれを体験すれば辛い即席麺というものを理解できますよ(魔笑)。