(旧暦 弥生六日)

 『ジャヒー様はくじけない!』1
 『ジャヒー様はくじけない!』1
  昆布わかめ/ガンガンコミックスJOKER


 第2巻が発売されたと言うのに、第1巻のご紹介(笑)。
 とは言え、ジャヒー様の悪戦苦闘ぶりを楽しめばいいので、1巻も2巻も関係ないですね。

 異世界の実力者が人間界に流れ着いて、その慣れぬ社会で苦労する。
 というのは、ホームレスする魔王とか、コンビニでバイトする魔王とか、枚挙にいとまがなく。
 その意味では、魔界ナンバー2だったジャヒー様の現状は、設定として決して目新しいものではありません。むしろフツー。

 て言うか、このテの設定の元祖は、たぶん水木しげるさんの『墓場鬼太郎』だと思いますよ。
 明治の頃までは繁栄していた妖怪たちが、山が切り開かれ夜も明るい昭和になって、その居場所を失い、やむなく人間社会で暮らすため金銭問題に直面する。鬼太郎の生誕からして、お金がらみの苦労噺でしたからねー。
 つまり、『ジャヒー様』は画期的な設定なんかじゃない(苦笑)。

 この作品の売りは「くじけない」ところだと思います。
 魔力を失い、ょぅι゛ょ体型になってしまったジャヒー様が、それにもめげず魔界復興を目指して七転八倒する。そして毎回毎回、必ず…………泣く。ここが重要ですね。
 ジャヒー様の涙により、読者は皆、ジャヒー様を助けたくなる、養いたくなる、貢ぎたくなる、というワケ♪
 もっとも、第2巻に入り、新キャラのドジッ娘が出る話では、この娘がジャヒー様の代わりに泣きますが(笑)。

 第1巻が二月、第2巻がなんと四月発売という急ピッチ。人気のある証拠でしょうねー……第3巻は秋になるそうですが。(;^_^A
 ああ、早く続きを読みたいです。

 第2巻の終わりの、あの魔法少女の妖しい笑みが気になって気になって。はたしてジャヒー様の命運や如何に!?
 まあ、たぶん普通に隣室に引っ越してきての挨拶だと思うけどねー。あの笑みは直後に「きゃー、ちっちゃーい、かわいいー♪」とかなるんだぜ、きっと。