今朝の朝刊（たぶん朝日だけじゃないと思いますが）にあったボンカレー＆ブラック・ジャックの全面広告を見たかたも多いことでしょう。
その広告でも紹介されている例の第88話「報復」の１シーンを根拠に、ＢＪがカレー好きという迷信が出ている。という現象は有名ですが。
申し訳ないが、欠番とされる「指」と「快楽の座」、ほぼ欠番状態の「壁」と「落下物」以外の全エピソード（『ミッドナイト』のＢＪ登場話も含む）を読んだ私に言わせれば、ＢＪがカレー好きという明確な描写は、どこにもないのですよ。と言うか、ほのめかしすら、ない。もちろんカレーを食べるシーンは何度もありますが、特にＢＪがカレーを喜ぶとかの様子はありません。普通に食べているだけ。
なぜ、これでＢＪの好物がカレーとなったのか、不思議でなりません。
いえ、経緯は判ってますけどね。
でも、その流れで「カレー好き」説を唱えた者のバカさかげんに呆れているのですよ。
繰り返しになりますが、第88話「報復」にて。
日本医師連盟会会長の罠にかかって警察に拘留されたＢＪ。そこにピノコが「おちゅうげん」（差し入れ）を持ってくる。中身はボンカレーとカップヌードル。ここでＢＪの言うことに、
「ボンカレーは どうつくっても うまいのだ」
と。
これが根拠なのでしょうが。
言い出した奴がバカすぎる無知すぎる。
「ボンカレーは、どう作っても旨いのだ」
この台詞はＢＪが言っていますが、ＢＪ自身の言葉ではありません。
当時、笑福亭仁鶴師匠がボンカレーのＣＭレギュラーでしたが、そのうちの一つで、この台詞を師匠がおっしゃっていたのです。
つまり、ＢＪの台詞は、話の流れと無関係に唐突に執筆時の流行語などを挿入する、という手塚先生の癖と言うか作風によるものです。別にＢＪがカレー好きかどうかは関係ない。なので、この台詞を根拠にＢＪの好物をカレーとする説は、論理が飛躍しすぎています。
ちなみに、今朝の全面広告でもＢＪをカレー好きとしていますが、これはまさに大塚食品さんの手前味噌でしかないですね。
「報復」のシーンを「ＢＪが喜ぶ」としていますが、いや別に喜んでませんて。
コピペされてあるシーンでは、もう一つのふきだしを意図的にカバー絵で隠してありますが、そのふきだしには実は
「ボンカレーとカップヌードルばかりもってきやがった…………」
という台詞があるのですよ。つまり、特に喜んでいないどころか、ピノコのセンスにあきれてる（笑）。
ピノコがボンカレーを持ってきたことでＢＪが喜んだ、とするのは、無茶もいいところです。
ボンカレーは嫌いじゃないし、むしろ好きなほうですが。
今朝の広告内容については、勇み足が過ぎたという印象ですね。
ブラック・ジャック先生がカレー好きかどうかは、少なくとも本編では確定してませんよ。
