朔、大雪 (旧暦 霜月朔日)

 元々の自分って、スペック表の熱烈信者だったんですよね。
 だから、カメラやオーディオ、車などなど、すべてスペック数値だけで善し悪しを勝手に決めていた。

 ほんま阿呆でした。



 例えば、カメラのシャッター・スピード。

 速ければ速いほど高性能、と信じて疑わなかった過去の自分には、完全機械式で 1/4000秒を誇るニコンFM2 が神にしか見えませんでした。だからこそ長年、自身のフェイバリット一眼レフとしていた。
 しかしまー、1/4000秒なんてスピード、レンズが相当に明るくないと使えませんし、そもそも使う機会なんてそんなにない。ロクに使わない機能を載せたがために機械に負担を与えるなら、それはむしろデメリット。そう気づくまでに随分と、かかりました。
 なので、今の妖之佑のフェイバリットな機械式一眼レフは同じニコンでも F2 となっています。無理のない 1/2000秒なら、機械も虐められませんからね。さらに言うなら、もっと気軽に使える最高速 1/1000秒のほうが、より実用性が高いと言えます。FM とか MX とか OM1 とかね。さらに FM10 まで行くと、所有欲を刺激しないという点で商品としての魅力に欠けるので、こちらは愛でるのではなく純粋な道具と見るべき。FM10 なら壊れても盗まれても、金銭面だけでなく精神的ダメージも少ないですから。これを逆手に取り、物騒な場所へ撮影に行くなら、この手の安い品にするのが吉となりましょう。ツールとしての性能に問題はないわけですから。
 このあたりを理解するのに、年月がかかったものです。はひ。
 ああ、誤解があるといけませんから念のため。ニコンFM2 が魅力的で良いカメラであることは、まちがいないのですよ。ただ、1/4000秒という無理をさせていることを承知のうえで気遣って使ってやる必要がある、ということです。だから妖之佑も今のところ手放す気ゼロですし。まあ、頑丈さでは上限 1/1000 に止めてある機種が上だと思う。